第29章 アメリカの時間
ケイト「解ってるよ…
それだけ、離れ辛くなるからだって事も…
それだけ、大事にしたいんだって事も…
でもさ…
嫌なんだよ…
いがみ合って、争い合って…
その先には、痛みや苦しみしか残らない…
今までだってそうだ…
その繰り返しで…積み重ねで…
それがあるから、平和や幸せや笑顔の大切さも解る…
でも…
そんな傷付け合いの積み重ねが…痛いんだ…
痛みが積み重なって、苦しみ抜いて…
誰も助けてくれなくて…
誰も、認めてくれなくて…
そうやって拒絶して、その先には…
苦しみ以外残らないよ…;(涙)
拒絶されれば、嫌な思いをする
人によっては、仕返しをする者もいる
終いには、命を奪う人もいる
そしてまた…仕返しで殺す人も…;
その連鎖が生まれれば…
皆が皆、辛くなるっ;
痛みが…広がっていく…
色んな人を、巻き込んでいく…
それが…
私にとっては、何よりも嫌なんだ…(ぽろぽろ)
あんな思いを味わうのは…
もう、私だけで十分なんだ…;
嫌なんだよ…;;
私一人で済むんなら…
それでもいい…
あんな連鎖が起こって…
皆が、苦しむよりかはマシなんだ…;;;」
ぽとっぽっぽっ
そう、目を左手で覆いながら…
涙を抑えようとするかのようにしながら
声を震わせ、それでも必死に紡ぐ…
この想いが、理解して欲しい事を
表わしているかのように…
エヴァン「…
お前は、あいつのいい所も似たな(微笑)
だが、同時に悪い所にも似た…(真剣)
お前のそれが、人に利用されやすい。
だから…私が護りたい…
忘れ形見を…
たった一人の、最初で最後の孫を…(辛そうな顔)
だからケイト…
私の傍にいて欲しい…
束縛するわけじゃない…
だが…
お前には、アメリカにいて欲しいんだ…
銃もある、危険かもしれん…
それでも、あんなごたごたはない。
皆が皆、はっきりと意見を伝える。
そんな考え方もあるのだと、受け入れる人が日本より多い。
だから…戻ってきてくれ…
私は…お前まで失ったら…
それこそ、死んでしまいたくなるんだよ(涙目」
そう、痛々しげな涙目と共に見つめ
そのケイトを、優しく抱き締めた…