第29章 アメリカの時間
その言葉と共に
放たれた右拳は、重くケイトの左頬へ打ちのめされた。
ケイト「っ…」
エヴァン「日本人が何をしたのか、忘れたのか!!??
父を奪い、母を奪い!
その果ては、お前の両親まで奪った!!
私の一人娘まで殺した!!
私は、もともと日本人が嫌いだった…
私のグランパもグランマも!
オリヴァのグランパもグランマも!!
皆、日本人に殺された!!!
そんな奴等とつるんでどうする!!!!??
私たちにとっては、敵も同然だぞ!!!」
ケイト「…
私の父さんは…
悟父さんは、死んじゃいない…
そんなの望んでない…」
エヴァン「あいつは別格だ…
人として、あるべき姿を探求し
進むべき道を、自らの信念とする…
あのような、立派な侍はいなかった…
なのにっ…
あいつは、殺された…
息子に持ちたいとも思った…
日本人にも、そんな奴がいることを初めて知った…
だが…
そんなあいつでさえも殺したのが!!
日本人だっ!!!!(激怒&震え&睨み」
激怒しながら、怒りのあまりに震え…
日本人を睨み据えるエヴァン…
ケイト「爺ちゃん…
子の人たちは、殺した人じゃないんだよ…
色んな要因が重なって…
死んだんだ…
それを憎むことも、恨むことも…
父さんも母さんも望まないよ;
そんな風に、誰かを憎んで
誰かに嫌な思いをさせて、苦しませて!
…それが、私は嫌なんだ…
それが…
最も望まないことだって事ぐらいは解るから;;」
エヴァン「…何を言おうと
私の考えは変わらん。
日本を出ろ。
私の所へ、戻って来い。
私は…
お前だけは、失いたくないんだ…
ケイト…」
壁へ叩きつけられ、未だに壁を背に座り込んだままのケイトに対し
ケイトへ歩み寄りながら言い、呼びかけると同時に
しゃがみ、その頬を優しく包み込んだ…
愛おしげな、瞳と共に…