第26章 伏魔の時間
悟「その行動は、お前自身が取ったものだ。
お前が、罪を償うしかないんだ!
学の妻の、親御さんのためにも…
もう二度と、同じ思いを誰にも味あわせないためにも!」
学「…なあ、悟よぉ…
憎しみに負けて、行動しちゃダメなのかよ…
負けて、振り回されて殺しちゃ
人はおしまいなのかよ!?」
悟「そうは言ってない!
それよりも…
大事なものがここに在るだろう!?
憎しみだけじゃない。
愛情があって、初めて俺たちは笑っていられた!
楽しい日々を、幸せだと感じていられたのも!
楽しく、心地いいと思えたのも!
憎しみを超える、愛があったからだ!
だから、結婚したんだろ!?(痛々しい表情」
学「っ…;
もう、おせぇんだよ…
俺は、取り返しのつかねぇことしちまった!;
この世は、憎しみばかりだ;
憎しみをぶつけ合って
汚れをぶつけ合って…
いつまでも…
昔の純粋だった頃の俺たちから、かけ離れていく;
それでも…お前は違った;
何で、そこまで愛に純粋でいられるんだよ…
憎しみばかりがはびこる世界で…
何で、平然とそんなことができるんだよ!!;」
俺は気付けば、涙を流しながら
悟の胸ぐらを掴んでいた…
その失ったものが…
どれほど尊いか…解っているからこそ…
悟「…」
学「俺には、理解できねぇよ;
(本当は…解ってる…
遠い昔、夕日の中…
共に笑い合っていた、あの頃から…)
俺は、お前のようにはなれない!
俺は…憎しみの方に進む!!」
苦しかった…
最愛だった妻を殺し
お腹の中の子まで殺してしまった…
その痛みから…
苦しみから…
目を遠ざけるため…
そう決めようとした…