第25章 南の島の時間
最初の内は、竜馬にばれないようにいじめられていた
それでも…
4年にあがって、別々のクラスになると
火ぶたを切ったかのように
毎日が、激しいいじめへと変わり…
そうして……
その学年の誕生日…
パーティで、竜馬の家族と共に食べた後
その帰りの時、車ごと両親が殺された…
私だけ、かろうじて母さんが出してくれた…
そして…手を差し伸ばす
しかし…
その手は、触れそうで触れられないまま
離れていく…
ケイト「父さん!!母さん!!」
頭の中が…
真っ白だった…
そして背の角度が、地面と平行だったのが…
頭が、下になるように落ちていき
回転しながら落ち、木の枝などがクッションになって
そして、全身を打ち付けられた…
それと、時を同じくして
爆発音が聞こえた…
全身が打ち付けられたことで
その分、衝撃が一か所に固まることも無く
骨折も打撲もなかったのが、奇跡的だったらしい…
それでも…
当時の私の頭には
二人を助け出すことしか頭になかった…
しかし…
何とか痛む全身を無理に動かし、ほふく前進しながら行き着いた先は…
燃え上がる車と、人の残骸さえもない状況だった…
それに…
左手を差し伸ばしながら…
遠ざかる意識の中、涙を浮かべながら
意識を手放した…
何度も何度も…
頭に痛々しく蘇り続ける、この思い出は…
私を、幾度となく傷付け続けた…
幾度となく、闇へとおとしいれかかった…
しかし…
それよりも、大事なものなんて
気付くことはなかった…
それを与えてくれる人が、誰もいなかったから…
いくら人を心配して
大事にして、たくさん助けようとした所で…
結局の所…
「私自身」を助けてくれる人は、いなかったから……
だけど…
今は、違う…
皆が居る…
カルマがいる…
助けてくれた…
この闇を、光へと変えてくれた…
眩し過ぎる、大事な皆……
だからこそ、失いたくない…
だから…
何があったとしても、護り抜いてみせる
そう思いながら、ケイトは左手を見つめ
拳を握る。
その決意を再確認し
絶対にぶれないように…
絶対に…
護り抜くために…