第24章 夏休み
ちょうどその頃…
寺坂(ちくしょう…
あいつの影ばかりが、ちらつきやがる;)
寺坂は一人で、歩いていた…
昔を思い返しながら…
激しいいじめと迫害、差別を受けていた時…
俺は、それを知らなかった…
けれど
薄々気付いていながら、何も出来なかった…
はぐらかされてばかりだったから…
ケイト「大丈夫だよ^^」
その言葉とは裏腹に
その顔は、とても辛そうだった…
その当時、何も知らなかった俺は…
それを鵜呑みにしてたんだ。
こいつがこういうからには、大丈夫だって…
だけど…
進級と同時に、祖父母が無残に殺され
ますます化け物扱いがひどくなったらしかった…
クラスの皆は、いじめっ子と共にケイトを責め
責めない人がいたとしても、それを放任してる奴等だけだった…
内面をジワジワ傷付け、一年も欠けて浸食し続け…
少しずつ…少しずつ……
音も立てずに、壊れていった………
日常が…
非日常に染まっていく……
闇に、瞳が染まっていき…
闇しかうつさないほどに、荒んでいく…
日常的に、満面の笑みを浮かべていた…
とても生き生きと、輝いた目を見せていた…
その輝いた笑顔が、どれほど眩しかったのか…
どれほど、あいつが好きだったのか…
俺は後になって、思い知った…
あの葬式の時…
俺は、手を差し伸べようとした…
けど…
ケイトのアメリカ人の祖父に、押された
まるで、敵であるかのようなさげすんだ眼を見せられ
俺の目の前で、ケイトを安心させて涙を流させた…
長年にかけて、ずっと堪え続けてきた涙を…
その時…俺は気付けば…
そのやり場のない手を、落としていた…
それから、アメリカへ去って行った…
きっと帰って来る、そう信じて…
けど、あいつは戻ってこなかった…
あの時…
俺が、手を差し伸べていれば…
あんな泣きじゃくった顔をしながら
あんなことを…
言わせずに…済んだのに…