第24章 夏休み
村人たちは
その彼の死骸の『血、肉、骨』を使いました。
地面に血をまいた時
地面から次々に、生命の息吹が溢れだしていき
力を受けた作物が、次々に完成していきました。
それに対し
その血は、生命と力を与えるのだと解釈しました。
しかし、動物に血を飲ませた場合
強過ぎる力に耐え切れず、内側から爆死しました。
肉に関しては、食べれば
その部位に溜まっている力の分だけ
勝手に傷の全てを、自然と一瞬で治る『不死』にしました。
そうして、最後に残った骨は…
病気になった人たちに、削って飲ませると
何でも治せる『万能薬』にもなったとのことです。
そう…
彼は、証明してしまったのです。
我ら一族が、血で繋がると同時に
常人なり得ぬ力を持ち合わせていることを…
その後…
村人たちは、その欲深さのあまり
我々一族、彼の両親と祖父母を殺そうとしました。
しかし…
神の力により、助けられ
村人たちの記憶から抜け、伝説から抜け
そうして…
忘れ去られるまで、山の奥深くで暮らしていました…
その洞穴は、今も残っている…
この滝の、裏側に…
この大岩を、封じ岩として…
誰も近づけぬ、そんな場所に…
家族と力を合わせて
共に、今まで生き永らえ…
ほとぼりが冷めた頃に
再び村に戻り、平和な時を再び過ごしましたとさ…』
そんな話が、今も残っている。
だから、人を助けるものじゃない
逆に、それを利用されるだけだから…
そんな奥深さを、証明しているようにも感じた…
けれど…
私は、そういうのは嫌なんだ…
自分には、殺したいだとか
怒りをぶつけたいだとか…
そんな思いなんて、誰にでもある。
それでも…
そんな自分を律することも出来ない奴が
本当の意味で、人を護ることなんて出来ないって思ってる(真剣)