第4章 田中恵土(たなかケイト)
クラスメイトたちは、助けようともせず
目を向けようともせず
必死に、己の保身のみに集中していて
いじめっ子たちは、それらを巻き込み
無抵抗のケイトを、言うがままに傷付け続けていった。
孤立させ、差別させ、暴言を吐き続け
それ自体を無視し続け、先生が尋ねても知らない振り
居場所などないかのように
机も椅子もひっくり返され
授業をしに来た先生には
その途端に、ケイトがやったと言いやがる。
ケイトが後ろに回したプリントを
後ろにいた奴がぐしゃぐしゃにし、ケイトがやったと言ったり
やってもいないのにカンニングしたと言ったり
それを見ていて
本当はどうなのかを知っている連中も
そんなこと、知ったことじゃないと
見て見ぬ振り…それを一年も続けていたらしい…
俺の知らない所で…
ケイトは、傷付けられ続けていた…
抵抗しないのをいいことに…
散々叩きのめされ、それでも格闘術を使おうとせず…
俺が幼い頃に見惚れた、格闘術を使おうともせずに…
ただただ、必死に耐え続けていた…
笑顔を見せながら…
寺坂「ぶちっ」
そんな光景を見た瞬間
俺の中で、何かが切れた…
まず、ケイトの一番近くで
高圧的に暴言を吐き続ける若干太った男子を殴り
そのすぐ傍にいた男子、女子を殴り飛ばしていった
「キャー!」「せんせーい!!」
女子共がわめく中、俺はそいつらを睨んだ。
寺坂「なに被害者ぶってやがる…
てめぇらは…ケイトを傷付けてなぶって
何とも思わねぇで、一年もやり続けてきたんだろうが!!
それなのに…自分のこととなったら『助けて』だ?
ふざけんな!!!!
その一年の間に
こいつが、どれだけ傷付いたと思ってんだ!!!!??」
「だけどこいつが」
寺坂「それはたった一時のことだろうが!!!
だが…お前らは一年もの間、ずっと
無抵抗のケイトを、傷付け続けてきただろっ!!!!」