第20章 水泳の時間
イトナはふと、寺坂の前にやってくる
イトナ「お前は
あのクラスの赤髪の奴より弱い。
馬力も体格も
あいつより勝るのに、なぜか分かるか?
お前の目には、ビジョンがない。
勝利の意志も情熱もない。
目の前の草を漠然と食ってるのろまな牛は
牛を殺すビジョンを持った狼には勝てない」
その言葉に怒ろうとする寺坂
寺坂「何なんだ、コノヤロー!」
シロ「まぁまぁ。
決行は明日だ。よろしく頼むよ」
そんな寺坂をシロが止める。
そんな中…
一言呟いていた…
イトナ「本当の、強さ…」
その頭によぎるのは…
「人としての『本当の強さ』っていうのは…
『腕っぷし』のことじゃない。
殺して勝った所で、
強いって証明できるものでもない。
本当の強さっていうのは…
本当の力っていうのは…
相手を殺すために、必要なものなんかじゃない。
『相手を思いやり、大事にしようとする心』だ」
「私はずっと…自分を殺すことで
護ろうとしてきた…
自分の心が、どれだけ悲鳴をあげようが
それを全部無視して、生きてきた。
でも…ここに来て知った。
自分も、大事にしないといけないこと…
安易に考えて、殺した所で…
誰も救われないんだということを…
そんな先には…
幸せなんて、生まれないことも…」
そんな言葉と共に…
凄まじい力を示した姿が、脳裏に浮かぶ…
イトナ「なんなんだ…
あいつの言う、本当の強さとは…」
たった一人になった時、呟かれた言葉…
それは、闇夜へと消えて行った…
時を同じくして…
ケイト「はくしょん!!」
カルマ「ほら、早く乾かさないから」
ケイト「大丈夫。
今から入り直してくる;」
カルマ「じゃあ俺も付き合うよ♪(悪魔笑い」
ケイト「やめんかお馬鹿!!;」
カルマ「あっはっはっはっはっ!^^」
ケイト「もお(溜息)…くす^^」
当の本人は、返事のある喜びを感じ入りながら
風呂に入り直し、ゆっくり眠ろうとしていたのだった…