第12章 もう一人の転校生
前原「なあ…これってやばくね?;」
シロ「…空気が震えている)
やっと、力を見せる気になったか…
人でありながら、神の力を宿した『化け物』」
そう呼ばれる先には
黒髪がざわつきながらも、拳を握りながら
必死に抑え込んでいるようなケイトの姿があった…
イトナ「…邪魔をするな(睨む」
ケイト「邪魔じゃない。言ったろ?
殺せんせーの次は、私だって」
イトナ「…どけ!
殺しの邪魔をするなら、お前も殺す!」
そう叫びながら、
黒い触手を振ろうとするイトナに対し…
ばしぃっ!!
ずさぁーっ!!
その触手を弾くと同時に
イトナへ覆い被さった。
イトナ「くっ」
ケイト「…違うんだよ」
イトナ「?」
ケイト「人としての『本当の強さ』っていうのは…
『腕っぷし』のことじゃない。
殺して勝った所で、
強いって証明できるものでもない。
本当の強さっていうのは…
本当の力っていうのは…
相手を殺すために、必要なものなんかじゃない。
『相手を思いやり、大事にしようとする心』だ。
相手の、
これからあるであろう幸せまで奪う
『殺し』なんかじゃないんだ。
そんなことは…
誰であろうと、やっちゃいけないことなんだよ…
だから…
本当の意味で『強い』っていうことは…
『相手を、殺すことなんかじゃない』んだ。
殺すなんて、気安く言うなよ。
そんなに、命は軽いものなんかじゃない。
そして…
それは、自分自身に対しても言える。
私は…ずっと、苦しんで生きてきた…
そんな思いを、味あわせたくないから
そんな苦しみを、誰にも味あわせたくないから
私はずっと…自分を殺すことで
護ろうとしてきた…
自分の心が、どれだけ悲鳴をあげようが
それを全部無視して、生きてきた。
でも…ここに来て知った。
自分も、大事にしないといけないこと…
安易に考えて、殺した所で…
誰も救われないんだということを…
そんな先には…
幸せなんて、生まれないことも…」
そう話す中…
ケイトは、辛そうな顔をしていた…