第10章 修学旅行の時間
ケイトが意識を手放した後も
左手で右足の裾を掴まれたままで…
それをカルマは、そっと優しく放していた。
杉野「班員が拉致られた時って…
普通、想定したしおりなんてねぇよ(苦笑」
渚「殺せんせー、
恐ろしくまめだから何でも書いてあるよ。
京都で買ったおみあげが
東京のデパートで売ってきた時のショックの立ち直り方とか…;」
杉野「どこまで想定してんだよ…;」
答え「おみやげを買ったのではありません。思い出と経験を買ったのです」
渚「鴨川で
いちゃつくカップルを見た時の淋しい自分の慰め方とか…」
答え「自分は平安貴族だ」と自分に言い聞かせましょう。平安貴族の求愛は人目を忍んで行うのですから、
今、この場で一人ぼっちでも何ら不自然ではありません」
杉野「大きなお世話だ!」
渚「おかげで少し落ち着いた。
今すべきことも、ちゃんと書いてある」
そうして…
場面が変わり、誘拐犯の不良たちは…
「つれに召集かけといた。
記念撮影の準備も、ここなら騒いでもだーれも来ねぇ。
おめぇ、どっかで見たことあると思ったんだけど、
これさ、お前だろ?
去年の夏ごろ、東京のゲーセン」
そう言いながら写真を見せる不良は
神崎へ言い続ける。
「めぼしい女を報告するよう、だちに言っててよ。
さらおうと計画してたんだが…見失ちまった訳。
まさか、あの名門中学の生徒だったとはねぇ。
あ、でも俺には分かるぜ。
毛並みに良いやつらほど、
どっかで台無しになりたがってんだ。
これから夜まで
台無しの先生が、何から何まで教えてやるよ(微笑」
悪質な笑みを浮かべながら
後ろ手に縛られた神崎と茅野を見下ろす不良。