• テキストサイズ

時と光と風の中で

第6章 恋の策謀事件(上)


その日の夕食時にヘルメスは考え込んでいた。アフロディティーとキューピッドの交際にいい顔をしなかったのだ。それには理由があったのだ。以前ヘルメスはアフロディティに片思いしておりその旨を伝えたことがあった。それは夏休みの前のことだった。
「君が好きだ。よかったらお付き合いしてくれないか?」
ヘルメスは花束を手にしていて足は震えていた。
するとアフロディティーはニッコリしてこう言った。
「あなたの気持ちはわかったわ。でも私のタイプではないからお付き合いすることができなの。本当にごめんなさい。」
アフロディティーはぺこりと軽く頭を下げて去って行った。
この時ヘルメスは体の力が一気に抜けていくのを感じた。この感じはなんだろうとさえ思った。敗北感と脱帽が入り交じた不思議な気持ちを味わったヘルメスは徐々にアフロディティーに嫌気を指してきた。

そんなヘルメスがアフロディティーに最初に出会ったのは授業が始まった初日だった。ヘルメスが授業中に私語をして先生に怒られたんだと授業終わりに他の生徒に話している時にアフロディティーがヘルメスの横を通り過ぎた。ヘルメスはそのときはあまり気に求めなかったようだが話が終わって後ろを振り向くと爽やかな風が廊下に吹き抜けていた。
「この風はどこから来るのだろう?」
と不思議でならなかったのだ。
それからケンタウロス、ディオといつも一緒にいるウンディーネと仲良くなって彼女の寮で一緒の生徒すなわちルームメイトのことを教えてもらったのだ。そこでは彼女のことも語られた。この時にヘルメスは彼女を知った。それからウンディーネがルームメイトたちを紹介してくれたがヘルメスはガイアには気に求めず、すっかりアフロディティの虜となっていた。それから彼女を追いかける日々が始まった。彼女がろうかを通るたびに胸が高まり緊張が走り手に汗を握ったこともあった。こんな感情は今まで抱いたことがなかったので非常にワクワクしていた。同じ学校で寮は違えどまた会えるとわかっていながらも日々を過ごしてきたが。一番辛かったのが休日だった。休日は彼女とほとんど会えなくなってしまうためにヘルメスにとっては過酷だった。なんとかして彼女に会いたいと願ったが彼女にも予定があるかもしれないという不安がヘルメスを襲った。

/ 261ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp