第6章 恋の策謀事件(上)
さて、こうしてキューピッドとアフロディティーは晴れて恋人同士になった。2時間目の体育の授業が終わり次の授業へ移動中も2人は並んでずっとおしゃべりをしていたし、なんだか楽しそうだった。それを見たケンタウロス、ユニらは彼らを褒め称えた。
「やったじゃないか。」
ケンタウロスがキューピッドに歩み寄り彼の肩を叩いて微笑んだ。
「でもケンタウロスこそ無事でなによりだったな。」
2人は笑い合った。
そんな中彼らを遠くで見つめている人がいた。そう、ヘルメスだ。ヘルメスはこの喜ばしいことに素直に喜べないでいた。
「どうやら復讐の時が来たようだな。」
ヘルメスは気味悪く笑いその場を去って行った。
「でも直ぐに知られてはおしまいだからな。今は見届けることにしよう。」
ヘルメスに一体何があったのかわからないが明らかに今までの彼とは雰囲気が違った。そしてヘルメスは気がついていたのだ。なぜキューピッドは母親を愛しているのかということにね。それはキューピッドの母親がアフロデティーであるということなのである。でもどうしてそのことをヘルメスが知っているのだろうか?今アフロディティーとキューピッドに試練が待っているのだ。彼らはそこから脱出することができるのだろうか?
愛し合う2人に阻む魔の影。忍び寄る大きな闇。嵐で荒れ狂う木々達が彼らに危険を知らせても全く気がつかなかった。なぜって学校まで危険の予告が響かなかったからだ。