第6章 恋の策謀事件(上)
休日が終わると元の生活に戻り生徒達も授業に励んだ。
「うわあ、エミール先生の授業だ。あの先生は本当に厳しいからな。」
キューピッドが隣の席のケンタウロスに囁いた。
「うん・・・あっ先生が来たぞ。」
エミール先生が教室に入った頃にちょうどチャイムが鳴り生徒達の騒がしさも静まり返った。
「授業が始まるぞ。みんな、席に着けよ。」
こうして始まったエミール先生の授業はペルシャ文学とゾロアスター教である。先生の字はいつも黒板に殴り書きのような字なので解読するのに少し時間がいりますが。
「さて、教科書の70ページを開いた所で誰かに教科書のページを読んでもらおうかね。」
先生は生徒達を見回したあと教科書を丸めて該当者を当てた。
「それではキューピッド君。いいかな?」
キューピッドは席に座ったまま教科書を読み上げた。
「ゾロアスター教の啓典である『アヴェスター』は、従前からの口承や伝承をもとにサーサーン朝の時代に編纂されたものとみられている。『アヴェスター』は、1.『ヤスナ)』 : 大祭儀で読唱される神事書・祭儀書。全72章。2.『ウィスプ・ラト』 :ヤスナの補遺。小祭儀書。3『ウィーデーウ・ダート』 :除魔書。4.『ヤシュト』:神頒5.『クワルタク・アパスターク』:小賛歌・小祈祷書6.その他逸文のみが現存している・・・。」
キューピッドが教科書を読み終わった後大事な所を生徒達全員で確認し次の項目へ移った。
「『アヴェスター』は、アケメネス朝時代の古代ペルシア語とは異なる言語によって、1,200枚の牛の皮に筆録されていたという。大部分がアケメネス朝滅亡の際にいったん失われ、のちのパルティアの時代とサーサーン朝の時代に補修と復元が試みられた。3世紀のサーサーン朝時代、当時の中世ペルシア語(パフラヴィー語)への翻訳がなされ、以後、正典として『ゼンダ・アヴェスタ』と称されたのだよ。」
それからエミール先生が説明を付け足して黒板に記しているとちょうどチャイムが鳴り授業が終わった。
「エミール先生は黒板に字を書くのが早いから追いつくのが大変だよね。」
キューピッドが授業終わりにケンタウロスと笑い合っていた。