第6章 恋の策謀事件(上)
さて、話は変わりましてまた元の時に戻しますが、オリンピア祭でキューピットがアフロディティーに告白していたことを覚えていますかね?ケンタウロスが倒れて意識を失っていてみんなが慌てふためいておりすっかり忘れ去られていたような気がしましたがここではアフロディティーを取り巻く恋の絡みについて書ければと思います。
オリンピア祭が終わってまもなくのことだった。この日の外は雨で寒く生徒達は休日を学校の中で過ごしていた。そんな中キューピッドが寮を抜け出してドアを開ける所だった。
「どこに行くんだよ?ああ、あの子の所か。君はお気楽でいいなあ。」
ユニが羨ましそうにそう言いって枕をキューピッドの背に向けて投げつけた。
「痛いなあ。なんてことするんだよ。」
「それで、あの子の返事は聞いたのか?」
ユニとのやり取りが続く。
「それがまだなんだよね。ケンタウロスのことでごたごたしてて聞きそびれちゃっから今日こそは返事を聞かないとね。でも僕のこと覚えてるかな?」
キューピッドは腰をさすりユニの方を向いた。
「だから直接聞くんだろう。まあ頑張れよ。」
ユニに続きケンタウロスとディオも頷いた。
「それじゃあね。」
キューピッドはドアを閉めて階段を駆けて行った。
キューピッドは寮を抜けてアフロディティーとの約束の場所へ行った。
「やあ、僕のこと覚えてる?」
キューピッドはにこやかに彼女に歩み寄った。
「当然でしょう。忘れたなんてまさかね。」
アフロディティは笑っていた。
彼女につられてキューピッドも笑っていたがその後は2人とも話すことができず沈黙の時が流れた。
キューピッドはその間今言わないと、と心の中で決めていた。
「あのさ、オリンピア祭で僕が読んだ詩の返事が聞きたいんだけど。返事を聞いてもいいかな。」
「そうね。」
アフロディティーは少し考えてからこう返した。
「じゃあ目をつむってよ。私があなたの手を握ったらOKね。」
キューピッドはそれに了解して目をつむった。彼は心の中でドキドキしていた。アフロディティーが急かすので早くしないかと思ったからだ。
そして、ついにアフロディティーがキューピッドの手を握ったのだ。そして2人は静かに抱き合った。
そんな微笑ましい様子を影から見ている人がいた。それはヘルメスだった。