第4章 Run at full speed!!
ウンディーネ達が病院を出て学校に戻った後ヒポクラテスは看護師とケンタウロスの部屋を訪れた。
ヒポクラテスの施す医術は、人間に備わる自然治癒力(ラテン語:vis medicatrix naturae),つまり四体液のバランスをとり治癒する自然("physis"ピュシス,『自然』の意)の力を引き出すことに焦点をあてたものであり、そのためには『休息、安静が最も重要である』と述べている。さらに、患者の環境を整えて清潔な状態を保ち、適切な食餌をとらせることを重視した。例えば、創傷の治療には、きれいな水とワインだけを用いた。その他鎮痛効果のある香油もときに塗布薬として用いられている。
そして名医の指示で看護師が塗布薬と香油をケンタウロスの体に塗った。
ヒポクラテスは、ケンタウロスの顔色、脈拍、熱、痛み、動作、排泄など多くの症状に注意を払い、規則正しい記録をつけていった。
こうして2,3日過ぎた頃だった。ウンディーネ達がケンタウロスのお見舞いに病院を訪れると今まで何事もなかったケンタウロスに変化が現れた。
”Γιατί είμαι εδώ;”
ケンタウロスが小声で何かを言っている。
「え?なんて言ったの?」
ガイアが耳を傾けた。
”Πού βρισκόμαστε;”
「ここは・・・どこ?っていたんじゃない?」
キューピッドがみんなにそう問いた。
「でも何か呟いたってことはケンタウロスはまだ生きてるってことじゃないかな?」
ユニの言葉にみんなの顔は少しずつ明るくなりお互いに抱き合って喜んだ。
「ケンタウロスは死んでないぞ!」
マールスがガッツポーズをしてみんなとハイタッチをした。
「っうるっさいなあ。」
するとどうでしょうか?ケンタウロスは奇跡的に目を覚ましたのである。そして目を覚ました時の最初の言葉がこれだった。
「あれ?ケンタウロスじゃない。もう大丈夫なのね?」
アフロディティがケンタウロスが起きたのに気がつき振り向いた。
「本当だ。ケンタウロスだ。」
みんなは喜びケンタウロスの方へと駆けつけた。
「本当は学校の医務室だけで済むはずが病院で入院になっちゃってみんな心配したんだからね。」
ウンディーネがしかめっ面をしたのでケンタウロスが”ごめん”と謝った。みんなが喜びに暮れているとそこに誰かが走ってきた。