第4章 Run at full speed!!
ケンタウロスは学校の近くの街のヒポクラテスの名医がいる病院へと移された。他の生徒達が寮で待機している中、ユニ、キューピッドも加わって昨日、医務室に駆け付けたウンディーネ達と病院へ向かった。病院まではチャリオットと呼ばれる二輪車で行き、病院に着くと早速受付を済ませた。
「こちらです。どうぞ。」
看護師さんがケンタウロスのいる部屋を案内してくれた。部屋の中に入るとケンタウロスはベッドで横たわっていたがまだ意識は戻ってないようだった。
ウンディーネ達がケンタウロスのベッドの周りで悲しみに暮れているとヒポクラテス先生がやってきてこう言った。
”ο βιος βραχυς , η δε τεχνη μακρα”意味は『人生は短く、術のみちは長い』である。
「ヒポクラテス名医!ケンタウロスは治りますか?」
ディオが先生に訴えた。
「心配することはないよ。」
名医は微笑んでケンタウロスの状態を確認した。それを看護師が記録に取っていく。
「みんなは病気は神様のせいだ!なんて思ってはないかな?」
名医がこう話を切り出したのでみんなは頷いた。
「病気は神々の与えた罰などではなく、環境、食事や生活習慣によるものであるんだよ。」
そして名医はこう続けた。
「彼の場合は種類の体液の混合に変調が生じた時に起こるという四体液説かもしれないね。」
名医の言葉にみんな関心した。
するとウンディーネが名医に質問した。
「すみません、質問があるんですが人の体を解剖することがタブーとして禁じられており、医師は解剖学・生理学の知識をほとんど持っていないというのは本当ですか?」
「はは、君は鋭い子だね。それはクニドス派かな。でもコス派は、予後(prognosis)を診断以上に重んじ、効果的な治療を施し大きな成果を上げているからね。コス派は、季節・大気といった環境の乱れや食餌の乱れが体液の悪い混和をもたらし病気を引き起こすと考えたので、患部はつねに体全体であり、病気は一つであるとされているのだよ。」
名医はにっこり”また来る。何かあったら呼んでくれ”とだけ言って看護師と部屋を後にした。