第4章 Run at full speed!!
ガイアはもう一度簡単にマールスに話した。そしてガイアから話を聞いたマールスはため息をついた。
「なるほどね。ドーピングは良くないなあ。ギュム先生がドーピングじゃないかって言ってるんだから間違えないと思うよ。だっていろんな生徒達と関わってきてるし、それにドーピングしてる人って特徴があるじゃない?」
マールスの言葉にみんなが頷いた。
「先生も言ってたけど気持ちが高ぶるっていうか。」
ケンタウロスが頭を掻いた。
「うん、そうだね。ドーピングの初まりは南アフリカの原住民が儀式舞踊を演じる際に飲用していたとされる『dop』というアルコール飲料に由来するというものであるって言われてるんだよね。他にも説はあるんだけれどこれが有力かなあ。」
みんなはマールスの話に感心し耳を傾けた。
「当初は『麻薬(曼陀羅華の種子と混ぜた煙草の煙)を用いて相手を朦朧とさせた上で盗みを働くこと』を意味するスラングだったんだよね。」
「スラングって何?」
ディオがマールスに聞きいた。
「ああ、スラングとは特定のエスニック集団、職業、年代、生活環境、ライフスタイル、趣味、嗜好を共通にする集団の中でのみ通用する隠語、略語、俗語のことだよ。スラングは、公然の場で口に出すことが一般に躊躇されるような言葉を、別の言葉で言い換えて表現することが、社会的な起源のひとつとなっているんだ。性、暴力、犯罪、薬物、差別に関する場合は、特にこうした由来を持つことが多いんだよね。」
「あら、マールスには参ったわ。私でも知らなかったもの。」
ウンディーネが肩をすくめたのでマールスが目を丸くした。
「嘘だろう?才女のウンディーネのことだから知ってると思ったんだけどな。」
これにはみんな笑った。
「まあそれは良しとしてドーピングの事だけど、禁止理由としては競技の楽しみや厳しさを奪い、結果としてスポーツの価値を損なうことになるからなんだって。後はフェアプレイの精神に反するためっていうのもあるよね。スポーツは統一したルールのもと、公平に競い合うことが前提となっているけど、ドーピングは公平性と真っ向から反する行為だからとか競技者の安全と健康を守るためだとか選手がドーピングに手を染めていれば、ドーピングをよしとする風潮が蔓延してしまうこの理由が挙げられるね。」
マールスはこう述べた。