第4章 Run at full speed!!
「よし、いいだろう。その代わり俺が勝ったら俺の下僕になるんだな。」
エリゴスは自信たっぷりに言うとケンタウロスの顎をぐいっと持ち上げた。それを見てサタンとアマイモンが笑っていた。それからしばらく沈黙が流れたあとウンディーネが椅子から立ち上がってこう言った。
「ねえ、本気なの?だって相手は悪の騎士でしょう?」
「だって悔しいとは思わないのか?あの時反撃すらできなかったんだぞ。」
そこにケンタウロスがテーブルを叩き叫んだ。
「ええ、確かにそうよ。でもケンタウロスは言葉を選ぶってことを知らないのね?見損なったわ。だって勝てる見込みがないじゃない。」
パアン
ウンディーネの手のひらは強くケンタウロスの頬を叩いた。
「だってそうだろう?オリンピア祭は女性禁制で女性は応援のみなんだぞ。聖なる書の時はホーラの女神様達に助けられてきたけど今度はそうもいかないってわかってるのかよ。しかも個人種目が多いから一人で戦わなきゃいけないんだよ。」
ウンディーネの言葉にディオが付け足した。
この時ケンタウロスは自分が言った言葉に不安を感じた。
「僕は一体何を言っていたのだろう?」
ケンタウロスが頭を抱えて考えているとディオとウンディーネが去って行った。
「私たちは協力しないし、ケンタウロスなんてもう知らないから。」
「自分の身をわきまえるだな。行こうぜ。」
ケンタウロスは余計な一言を言ってしまいディオとウンディーネと喧嘩してしまったのである。
「どうしよう。」
ケンタウロスはふと近くにいたヘルメスとヘファイストスに助けを求めたが彼らも呆れて去って行った。
と、その時です。
「あら、随分とお困りのようねえ。」
ケンタウロスが声のする方を振り向くとガイアが立っていた。
「君は・・・ガイア?」
「ええ、そうよ。それにしてもさっきのディオとウンディーネの顔を見た?どうしちゃったのかしら?」
ガイアが驚いてそう言ったのでケンタウロスは今までの事を全てガイアに話した。
「ああ、それで。私でよければ力になりたいけれど・・・。」
ガイアはそう言ってくれるがケンタウロスは不安だった。
「でもガイアが僕と手を組むとウンディーネに何か言われないかな?」
「大丈夫よ。手立ては打ってあるもの。」
ガイアはウィンクしてケンタウロスの手を握ると”頑張ろう”と励ました。