第4章 Run at full speed!!
音楽の次は数学の授業だった。
みんなが席につた頃にチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。数学を指導しているピタゴラス先生だ。
「さて、今日は立方倍積をやろうと先週話していたがみんなは定規とコンパスは持ってきましたか?」
みんなが返事をして持ってきたケースを見せるさなかエリゴスはケースがないことに気が付いた。
「あれ?ない・・・。」
「おや、エリゴス君忘れたのですか?」
「すみません。ロッカーを見てきます。」
エリゴスは先生に断って教室を飛び出した。
「エリゴス君には隣の席の人が教えてあげること。それでは気を取り直して、教科書を開いてください。」
生徒達が教科書を開くと問題が記されてあった。
1.円と同じ面積の正方形を作図せよ
2.与えられた立方体の体積の二倍の体積を持つ立方体を作図せよ
3.任意の角を三等分せよ
「こちらはギリシャの三大作図問題です。どれも, 定規とコンパスだけを使って作図せよ という問題です。それでは解いてください。始め!」
そこにエリゴスが慌てて教室に入ってきて”ありました”と席に着いた。
「エリゴス君にページを教えてあげなさい。」
先生がアマイモンにそう促した。
アマイモンは隣のエリゴスにページを教えてあげた。
暫くして先生がそこまで!と言って出来た人に手を挙げるように言った。そこでウンディーネは元気良く手を挙げて黒板の前に立つと書きながら言ったのである。
「これは不可能な作図ではないでしょうか?」
みんなが彼女の言葉に耳を疑った。そしてウンディーネはこう続けた。
「これらは全て定規とコンパスのみでは作図できないことが証明されているんです。ヴァンツェルは、角の三等分問題と立方体倍積問題は三次方程式を解かなくてはならないことを示しました。非自明な三次方程式の根によって生成される体は拡大次数が 3 になってしまい、そのような数を座標にする点は作図できません。円積問題を解いていて方程式 x2 = πr2 の解を求めることと同じ値なのです(π は円周率)。リンデマンにより π が超越数であることが証明され、作図が不可能であることが分かりました。他の道具で答えを導こうとしてもこれらは元々の『角の三等分問題』に対する解答ではないからです。」
ウンディーネの答えにみんな拍手喝采だったが、又しても邪魔されてエリゴスは不機嫌だった。