第4章 Run at full speed!!
オリンピア祭の準備や練習も順調に進んでいるさなかでも通常の授業も行われている。この日の1時間目は芸術から音楽の授業だった。指導しているのはネロ先生だ。この学校のある地元で歌手活動もなさっているのである。
「みなさん、ごきげんよう。早速授業を始めましょう。まずは教科書の45ページを開いてください。」
先生の指示通りに生徒達がページを開く。
「ここにはセイキロスの墓碑銘というのがあります。これは完全な形で残っている世界最古の楽曲の一つです。」
先生の言葉に生徒達も感心した。
「先生に質問です。歌詞の行間にはギリシアの音符による旋律の指示がありますよね?」
ウンディーネが手を挙げて先生に質問したので、みんな彼女の方を振り向いた。
「さすが、その通りです。それではみんなで読んでみましょう。」
暫く先生に続いて生徒達が教科書のページを読んでいると負けじとエリゴスが先生に質問した。
「先生、世界最古おっしゃいましたが、これより古いのもあるのでは?」
「そうなんですよ。だが短いながらも完全な形で残っている楽曲はこれが最古なんです。」
エリゴスが自信たっぷりに聞いたのも虚しく終わった。
それを見てヘルメスが笑った。
「お前はまたやられたいのかよ!」
その時アマイモンがヘルメスの前に立ちはだかったので先生が注意した。
「アマイモン君!廊下に立ちたくなければ静かにしなさい。それとヘルメス君もおとなしくしてなさい。」
それから2人は先生に注意され黙って俯いていた。
その後、先生は生徒達にセイキロスの墓碑銘の楽譜を配った。そして先生の楽器演奏に合わせて生徒達は歌った。
~わたしは墓石です。セイキロスがここに建てました。
決して死ぬことのない、とこしえの思い出の印にと。
生きている間は輝いていてください
思い悩んだりは決してしないでください
人生はほんの束の間ですから
そして時間は奪っていくものですから♬~
「はい、よく出来ました。来週は今回のおさらいをして次に進みます。教科書と楽譜を忘れずにね。」
「ありがとうございました。」
こうして楽しい音楽の授業は終わった。
鐘が鳴り授業が終わると生徒達は次の授業の準備と急ぐ。そんな中エリゴスが悔しそうにウンディーネの背中を見つめていた。
「次こそ名誉挽回さ。今に見てろよ。」