第2章 真実とは何か?
ウンディーネはデマゴーグの前まで小走りで来ると彼に大きな声でこう言いった。
「私達にはその書が必要なんです。だから返してください。」
デマゴーグはウンディーネをちらっと見たが何も答えてはくれない。それでもウンディーネは諦めずに彼に訴え続けた。
「私は新しい学校なんて必要ない・・・。」
「黙れ!クソガキが。なんで君達がこんな所にいるかは知らんが帰ってくれ!」
デマゴーグはウンディーネの前に立ちはだかった。
それでも怯まないウンディーネは彼の言葉を遮るように力いっぱいに叫んだ。
「私達はあなたの持っているその本を返してと言っているんです。聞こえていないようならもう一度言いますが、術士アブラメリンの聖なる魔術の書を返してください。」
「返したところでどうなるって言うんだよ。それと私の弟子に必要なんでね。君達の願いはなんだ?学校を減らせだと?笑わせるのもいい加減にするんだな。」
デマゴーグはそう言い放つとウンディーネに呪文をかけようとした。
「ダメよ。危ない!」
いつしかペルシア戦争を行っていた兵士達もデマゴーグとウンディーネのやり取りを見て歓声を上げていた。
そこにディケー留学生らがウンディーネの危機に助けに来てくれた。
ケンタウロスがデマゴーグに足蹴りをしようと飛びかったが跳ね除けられ地面に倒れ込んだ。
「ケンタウロス!」
ディオがケンタウロスのもとへ駆け込んだ。
「おや、君は講演会に来てくれた子だね。随分と邪魔をしてくれたじゃないか。」
皮肉たっぷりのデマゴーグにこちらを振り向いたディオは怯えていた。
「あなたは私達を騙したんですね。」
「騙しただって?何を根拠に言っているのかさっぱりわかりませんな。」
ディオと彼のやり取りに今がチャンスとウンディーネは彼に近づき本を奪い取ろうとしたがそれに気がついたデマゴーグがウンディーネに魔術をかけた。
ホーラー達が必死に彼に立ち向かおうとしたのも既に遅く、ウンディーネは気を失ってしまった。
とにかく今はウンディーネを安全の所に避難させようとゴブリンが彼女を抱いて走り去った。
そしてディオとデマゴーグの話は続いた。
「あなたは意図的に虚偽の情報を流し、嘘をついて人を扇動しようとする人だと聞きましたが違うのですか?」
ディオはそう言って立ち上がり彼に向けて呪文を唱えた。