第14章 キルケの秘密と魔法の扉
ケンタウロス達はそれぞれが夏休みを終えて学校に帰って行った。皆が口々に思い出を汽車の中で語り合った。
「ディオの夏休みはどうだった?」
ケンタウロスが汽車の座席で聞いた。
「とても楽しかったよ。秋になったらブドウを送ってくれるって親戚が言ってた。」
「それは楽しみね。」
ウンディーネが感心して言った。
「ウンディーネはお父さんといい思い出になった?」
ケンタウロスがウンディーネに聞いた。
「もちろんよ。暑かったけど避暑地に頑張って行っていい思い出になったわ。ケンタウロスは?」
「それなんだけど・・・家族で博物館に行ったんだ。」
「うんうん。」
2人が頷いた。
「そしたらウンディーネが前に教えてくれた本が飾ってあったんだ。えっと確か・・・ディオゲネス・・・。」
「ディオゲネス・ラエルティオス著者のギリシア哲学者列伝でしょう?」
ケンタウロスが思い出せないでいるとウンディーネが聞き返した。
「そう、その人の本が飾ってあったんだ。凄いなあ~って見てたらその本が突然光ってページが勝手にめくれたんだよ。」
「おいおい、怪奇現象はよしてくれよ。でもおかしくないか?博物館に飾ってあったということはガラスケースの中にあったんだろう?」
「そうだよ。そしたらその本がこう言ったんだ。次に起こりうることは要注意せよって。最初は僕も信じられなかったよ。でも最初に本が光った時は本のページの隙間だったんだけど僕が目を凝らしてもう一度見たらちゃんと本自体が光っていたんだ。だから間違いないと思う。」
「でも気になるわね・・・次に起こりうることってまるで何かを予言してるみたいだわ。」
ウンディーネが顔をしかめた。
「絶対、嫌な予感しかしない気がするな。だって嬉しいお知らせならわざわざあんな所で言わないと思うけどな。」
デュオが頷いて答えた。
「本当だね。とにかく要注意みたいだからみんなで気を付けよう。」
ケンタウロスの言葉に2人は頷くと健闘を称え合った。