第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~
「みんなは無事だよね?」
ケンタウロスがみんなの安否を確認しているとそこに誰かがやって来た。
「随分派手な噴火だったわね。」
「お前はヘーラーだな。」
テューポーンの言った通りにヘーラーは現れた。
「それがどうかしたの?」
ヘーラーは首を傾げる。
「俺のエキドナを返せ!子供をどこにやった?」
「ふっ、おふざけもいい加減にしてもらいたいわね。」
ヘーラーはテューポーンを見上げ嘲笑った。
「それじゃぁ、俺と正々堂々勝負しろ!」
「何を訳の分からない事を言ってるやら。負けても知らないわよ。あなたを片付けてやるわ。あなたのその体ごと頂いて血にしてくれるわ。」
ヘーラーはテューポーンに向かって勢いよく駆け出した。
「そうはさせるかよ。子供を返せ!どこにいる?」
「あなたの血が必要なのよ?わかるならおとなしくしてなさい。」
「うわああーやめろ!」
ケンタウロス達もヘーラーへの攻撃を試してみたが全く効かなかった。
「効かない?何で?」
ヘーラーは呪文を唱え石を出すとテューポーンの口にそれをあてがった。
「テューポーン!?」
これで彼は話すことができなくなってしまった。
「私はあんたの妻から子供を買ったんでね。渡せはしないのさ。それに子供も私になついてるんでね。」
ヘーラーは笑った。
「よくも・・・ケイローン様のケガやエキドナの死もヘーラーがやったのか?」
ケンタウロスは顔を真っ赤にし怒ってヘーラーに聞いた。
「だったら何だというんだい?」
「エキドナをやっつけようとしたのにねえ。あのじゃじゃ馬に見られたんで攻撃を仕掛けたけどあんたの話だと生きていたのかい?それは残念だったよ。」
ヘーラーはため息をついた。
「それじゃ、あんた達も片付けますか。邪魔な存在に私の事を語られたくないんでね。」
ヘーラーに攻撃を仕掛けても効かないなんて何故だろう?ケンタウロスは怒りと悔しさでいっぱいだった。
「お前たちの攻撃はそんなもんかい?」
ヘーラーが呪文を唱えると空はすっかり暗黒へと変わっていった。