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時と光と風の中で

第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~


ヘーラーは、ギリシア神話に登場する最高位の女神である。長母音を省略してヘラ、ヘレとも表記される。その名は古典ギリシア語で「貴婦人、女主人」を意味し、結婚と母性、貞節を司る。
ヘーラーの沿え名はガメイラ(結婚の)、ズュギア(縁結びの)で、アルカディアのステュムパーロスでは女性の一生涯を表すパイス(乙女)、テレイアー(成人の女性、妻)、ケーラー(寡婦)の三つの名で呼ばれた。ホメーロスによる長編叙事詩『イーリアス』では「白い腕の女神ヘーレー」、「牝牛の眼をした女神ヘーレー」、「黄金の御座のヘーレー」など特有の形容語を持っている。
「ヘーラーには語り継がれている物語があるのよね。アルゴナウタイの物語では、自分を冒涜したペリアースを罰するためアルゴナウタイを庇護してその冒険を助けているっていう話なのよ。」
ウンディーネが知っていることを話したのでみんなは感心して聞いていた。
ゴオオオオー
するとどこからかすさまじい音が聞こえてきた。
「何事?」
みんなが目を向けるとなんとエトナ火山が噴火していた。
「うわぁ、大変だ。逃げろー。」
火山の噴火はすさまじくみんなを飲み込む勢いであった。
「いや、待てよ?あの火山の中に人がいる?」
テューポーンが後ろを振り返ってそう言った。
「誰かって誰なのですか?」
ケンタウロスが不安げにそう聞いた。
「あれはもしかして?ヘーラー?」
「えっ、何だって?」
みんなはテューポーンの言葉に耳を疑った。彼は噴火の中にヘーラーに見える女性が見えたのだという。
「だとしてもあの火山の中にいることが平気なんておかしいわよ。」
ウンディーネは酷く疑いを持った。
しかし火山の中の人を良く確認しないまま逃げることだけを考えて走り出した。火山はやがてこちらに迫りつつあった。
「飲み込まれないように気を付けるんだ。」
チャリオットがせわしなく動く。みんなも必死だった。
「こんな時にキューピッドやユニがいてくれたらなぁ。」
ケンタウロスはそう呟いた。あの2人がいたら空が飛べたのにと思ったからである。
みんなが必死に逃げていると段々と火山の噴火が弱まって来た。
「たっ助かった。」
みんなは噴火の終わりを確認するとほっと胸を撫で下ろした。


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