第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~
「あの、そのことで話があるんです。聞いて下さい。そこでケイローン様、えっと学校の生徒の一人も怪我を負っていまして只今治療中なんです。だからエキドナの死と何か関係があるんじゃないかと思ったんですけどね。」
頭を抱え座り込むテューポーンにウンディーネは必死に訴えた。
「もう何がなんだかわからないよ。妻を殺したのは誰なんだ?」
「でも僕らもはっきり見ていないので犯人はわかりません。お気持ちはわかりますが一緒にエキドナを殺した犯人を探しませんか?」
ケンタウロスはテューポーンに聞いた。
「わかったよ。」
するとテューポーンは呆れたように顔を上げ手を差し伸べてくれた。
「ありがとうございます。」
みんなはテューポーンにお礼を言った後これまでのことをすべて話した。ここまでどうやって来たのか、ケンタウロス、ウンディーネ、ディオのタイムスリップの話からテューポーンに聞かせた。
「なるほどね。要するに君らは未来の人ってことだよね?」
「はい、そうです。」
テューポーンは話を聞いた後に頷いて考え込んだ。
「でも今日はもう遅いから明日から行動を開始したほうが良さそうだね。」
「そうですね。」
この日はいろんなことがありみんな疲れてしまい眠りに入った。
翌日には雨はやんでおりケンタウロスが洞窟から一歩外に出ると外には大きな虹がかかっていた。
「うわぁ、虹だ。」
「きれいね。」
ウンディーネが起きてきてそう言った。
「でも昨日から何も食べてないから何か探して食べようよ。」
「そうだね。腹は減っては戦はできぬだもんね。」
ディオが待ちきれない顔でそう言ったのでみんなが起きた所で洞窟を抜けて森の中に入って食べ物を探すことにした。
「昨日とは打って変わって静かだな。」
ディオの言葉にみんなが頷いた。
昨日は雨が降っており雷もなり凄まじい景色だったが雨も雷もやみ外は静けさだけが広がっていた。時々聞こえる鳥の鳴き声、木々がざわめく音、川のせせらぎだけで後は静かだったからだ。
”腹は減っては戦はできぬ”はギリシャ語では”Λιγότερο θυμωμένος δεν είναι εναντίον”と表す。みんなはまずは腹ごしらえにと森の中をあちこち探した。
「あっ、あそこに実がなってる木があるぞ。」
ケンタウロスが指を指した。
「ぶどうだ!」
そこになっていたのはぶどうであった。