第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~
それからみんなはチャリオットに乗ってスキタイ地方を駆け抜けた。
「しっかり掴んでてね!でないと落ちるわよ。」
ウンディーネがみんなに注意いした。
「うわあ、雷だ。」
しばらくすると遠くの方で雷がなった。
「あっ、雨だ。」
ザアァー
「あそこで休みましょう。」
みんなは突然の雨に雨宿りをする場所を探した。すると運良く洞窟があったのでそこに避難をすることにした。
「チャリオットはここに置いていいよね?」
ケンタウロスはみんなに聞いた。
「いいんじゃない。」
「はぁ~。洞窟があって良かった。」
「今晩はもう遅いしここで過ごした方が良さそうね。」
ギュム先生が激しい雨を穴から見て言った。
「そうですね。そうしましょう。」
みんなは頷き今晩はここで過ごすことにした。
「なんか寒いし、お腹すいたなぁ。」
ディオが外を見て身震いした。
外の雨はより一層強さを増していた。
「そうねえ、洞窟の奥に何かあるかもよ?私見てこようか?」
ウンディーネがそう言って洞窟の奥へと歩き出した。
「待って!僕も行くよ。」
ケンタウロスに続き、ディオやギュム先生も後を追った。
洞窟の中はひんやりしていて雨の雫が垂れていた。
「何か出てきそうで怖いな。」
ディオはやたらと後ろばかり気にしていた。
「もう、ディオったら。前を向いて歩きなさいよ。きゃあ。」
「大丈夫、ウンディーネ!?」
ウンディーネが小さく悲鳴を上げたのでケンタウロスがすぐに駆けつけた。
「びっくりした。何だ、水たまりかぁ。驚かせてごめんなさいね。」
ウンディーネは水たまりにはまっただけであった。
暫く洞窟の中を進むとそこには小さな泉があった。
「この水って飲めるのかしら?」
ウンディーネが泉を見つけしゃがんで水面を覗いていると中から誰かの手が見えたのである。
「たっ助けてくれ!」
「まっ待って。今助けますから。みんな力を貸して!」
ウンディーネがその手を引っ張り、ギュム先生とディオがウンディーネの後ろに回り、ケンタウロスは泉の中に顔を突っ込んで誰なのか確認すると自分の腕を差し出し捕まるように合図した。
「せーの!」
みんなの力により段々と腕が見えてようやく人が救出された。