第2章 真実とは何か?
風が収まると辺りはしんと静まり返った。
「やっと収まったわね。」
デュシスが天井を見て言った。
「ここから先は気をつけた方がいいですよ。」
ゴブリンが言ったその先には螺旋階段があった。
「よし。登ろう。」
ケンタウロスの言葉にみんな頷き階段を上り始めた。カツン、カツンと靴の音が静かに響いた。そしてしばらく階段を登っていると1つのドアが見えてきた。
「あのドアの向こうには何があるのかしら?」
ドアを開けた向こうには骸骨がいくつか転がっていた。
「ひいぃぃ。」
ウンディーネが小さく悲鳴を上げて骸骨を見た。
「これは・・・。」
デュシスが言葉を失い、ディオとケンタウロスも骸骨を見つめた。
「これはかつて神様に使えていた伝達使達や大臣達じゃと思うのだが。」
ゴブリンがそれらを見て淡々と言った。
「ヘルメスの祖先ってこと?私達の学校の生徒で伝達使の子がいるんですけど。」
ウンディーネはすぐにゴブリンに聞きいた。
「ならそうじゃないかね?」
ゴブリンは頷いた。
彼らが骸骨を見つめているとそこに靴の音が響いた。
「誰?」
彼らが足音の方を見ると黒い服装で見たこともない男がこちらにやって来た。
「君は誰なんだ?」
ディオがその人に聞いた。
「私はオリエンスだ。」
「オリエンスって4大悪魔の一人の・・・?」
ウンディーネが小さな悲鳴を上げるとオリエンスはこくりと頷いた。
「お前はアマイモンの仲間だな!何で今ここにいるんだよ。」
ケンタウロスがオリエンスに向かって叫んだ。
「叫んでも無駄よ。あの人は聞く耳を持たないから。」
そこにデュシスがぴしゃりと言った。
「君達に忠告しておくが術士アブラメリンの聖なる魔術の書はもうあの方の所へ渡っているはずだ。」
「そんな・・・。」
ディオががっかりして床に倒れ込んだ。
「でも何でそれを知ってるのよ。教えなさいよ。」
ウンディーネがオリエンスを鋭い目で見た。
オリエンスがこう言った時、辺りは凍りついたかのように寒気が増した。
「欲しければ正々堂々と手にするんだな。」
ウンディーネの”待ちなさい”の言葉も虚しくオリエンスは去って行った。
その時ゴブリンが去って行く彼を見つめてこう呟いた。
「あの方は神から離反した天使、すなわち堕天使ですな。」