第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~
「前の時はゴブリンがいたからいいけどさ。あいつもどこに行っちゃんだろうね。」
ディオの言葉にケンタウロスとウンディーネが頷いた。そう言えば冬休み以降ゴブリンの姿を見ていなかった。外出から学校へ帰って来た時にゴブリンは生徒達の寮とは反対の方向へ行き別れて行ったのである。あれからゴブリンの姿を見ていない。
「森に行く理由が見つからないわね。どうしよう・・・。」
ウンディーネが不安そうにしているとケンタウロスがなだめてこう言った。
「仕方ないさ。でも今度の武器の使い方の授業は課外授業のはずだから森の方を遠くへ遠くへって目を凝らして見ているしかないね。」
「そうね。」
今の手立てはこれしかないのだとウンディーネは諦めた。そしてディオも頷いてこの日は解散となった。
「それじゃあ、夕食でまた会おう!」
「ええ、夕食の時は3人で食べながら話す?」
「うーん。そうしてみるか。」
こうして3人はこの日の夕食は寮の子達ではなく3人で食事を取りながらエルフについて話すことにしたのだ。
「今日の図書館でも資料を見たと思うけどエルフにもいろんな種類があるじゃない?彼はどれに当てはまるのかしらね?」
食事をしながらウンディーネが2人に聞いた。
「人間との混血であるハーフエルフの場合もあるよね。」
ディオがサラダを食べながらそう答えた。
「ああ、そうね。ケンタウロスはどう思う?」
ウンディーネはケンタウロスに聞いた。
「そうだなぁ、エルフはローマ神話におけるニンフや、スラヴ神話におけるヴィラやルサールカのような存在だって言われていたから彼もその一種なのかもしれないよね。」
ケンタウロスは頷いた。
それにしても何故エルフがこの学校に現れたのか3人は不思議でならなかった。そして食事の際に話た結果”迷い込んで入って来た説”が一番有力となった。
「ごちそうさま。それじゃあウンディーネもまた明日ね。」
ケンタウロスは食事を片付けながらそう言った。
「ええ、明日の武器の使い方の授業が楽しみね。」
ウンディーネはそう言って食事を片付けると足早に去って行った。
「俺達も行こうぜ。」
ディオはケンタウロスと食事を片付け寮へ戻って行った。
明日の授業で手がかりが少しでも見つかればいいのだが。幸運祈る。