第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~
次の日もケンタウロス、ウンディーネ、ディオの3人は放課後に図書室を訪れていた。
「さて、昨日の男の子がエルフと分かったことだけは確かね。」
ウンディーネはテーブルに着いて言った。
「それで昨日は女子達に聞いてみたのかい?」
ケンタウロスはハラハラしてウンディーネに聞いた。
「聞いたんだけど、わからなかったわ。本当よ、彼女達は嘘をついているように見えなかったもの。」
ウンディーネは残念そうに首を横に振った。
「なるほどね。でも昨日ケンタウロスが”何故ここにいるの?”ってエルフに聞いたら黙っちゃったんだろう?ということはここに来た理由を彼は話したくなかったんだよ。」
ディオの言葉に2人は頷いた。
「だとしたら彼が出没するエリアを探ることと、もし彼を見つけたら彼の行動に注意が必要よね。」
ウンディーネは考え込んでそう言った。
「確かにね。でも学校中くまなく探すのは無理じゃないかな?3人だけじゃ探すのも大変だと思うよ。」
ケンタウロスはどうすればいいか必死に考えた。しかし良いアイディアが浮かんでこない。するとディオが本棚から一冊手に取りテーブルに広げた。
「僕らはエルフについて知らなすぎなんだと思う。まずは彼の特徴を掴むことが大事なんだよ。そのためには書物を開きヒントを得ることだよね。」
「そのようね。えっとエルフは北ヨーロッパの民間伝承に登場する種族である。ということは人々の言い伝えから生まれたことになるわね。」
ウンディーネは頷いて本に書かれていることを読み始めた。
「ああ。」
2人とも頷く。
「北欧神話における彼らは本来、自然と豊かさを司る小神族であったと、書いてあるけどすなわち彼らの特徴は自然と豊かさを司る小神族ということだからきっと森にいるに違いないわね。」
「森だって?」
2人がウンディーネに怪訝そうに聞いた。
「だってほら、エルフはしばしば、とても美しく若々しい外見を持ち、森や泉、井戸や地下などに住むとされるって書いてあるもの。」
ウンディーネは本の中の記事を指さしてそう言った。
「でも、森なんて学校の許可なしに行けないよ。前の犯人捜しの時みたいに上手くいくかな?」
ケンタウロスが首を傾げた。この学校では事務の許可が下りないと外へは出れないのである。