第12章 エルフ~ポッシビリタースの秘めた力~
この日の夕食はそれぞれ寮の部屋ごとに分かれて食べることにした。
「それにしてもあのエルフっていう子気になるなぁ~。」
食事をしながら考えるケンタウロスとディオ。
「エルフが何だって?」
ユニが2人に聞いた。
「ああ、この間の食事会で奇妙な少年を見たんだけどさ。彼はどうやらエルフらしいんだ。食事会にも招待されてる様子もなかったしね。それで彼について調べてるんだけどな。」
ケンタウロスが食事をしながら答えた。
「なるほどね。でも学校で今までそんな奴いたか?俺は見たことないけどな。」
ユニがそう言葉を返した。
「見たことない・・・か。」
確かにユニの言う通りだとケンタウロスは頷いた。
彼は入学してから今まで一度も見たことがなく、食事会で初めて出会ったのである。一体彼は何者なのであろうか?そして何の目的があるのだろうか?考えてみたがこの日は見当もつかなかった。とりあえずこの日は夕食を済ませるとケンタウロスはディオや寮の子達と寮へ戻って行った。
「ウンディーネから伝言だけど明日も放課後に図書室へ集まろうだってさ。」
ケンタウロスは夕食の後ウンディーネからそう聞いたのでディオに教えてあげた。
「わかった。今日と同じ時間でいいんだよな?」
「うん。それにしてもあの子、今まで見たことがなかったなんてどんな子なんだろうな?」
「そうだね。」
どうしてもあの子のことが気になって仕方がなかったが有力な情報が掴めないでいた。それは3人にとって非常に気がかりな事であった。ウンディーネも寮のルームメイトに聞いてみると言っていたが果たして何か情報は得られるのだろうか?
「それにしてもあのウンディーネとかいう子私と張り合いがありそうね。」
ケンタウロス達が寮へ向かう中キルケとオデュッセウスは食堂の片隅で彼らが去って行くのをじっと見ていた。
「だって前の学校では私が1番だったのよ。権力もそう、魔力もそう。でもなんかあの子が邪魔なのよね。何か手立ては打たないとね。」
キルケは悪態をつくような笑みを浮かべて腕組みをした。
「私が勉学だけ優れてると思ったら大間違いよ。今に見てるといいわ。」
キルケはそう言ってオデュッセウスと寮へ歩き出した。