第11章 進級~新しい出会い~
次の2時間目は図画の授業があり、3時間目は体練術があった。体を元気に動かした生徒達は疲れてはいたが3時間目の後はお昼ご飯の時間だとあって頑張って取り組んでいた。そしてお昼ご飯の時間となった。
ケンタウロスはディオとウンディーネと食事を取ることにした。
「はぁ、キルケの兄弟がルームメイトなんて参っちゃうな。」
ウンディーネがため息をついてトレイをテーブルに置き、どさっと座った。
「でも彼女らがルームメイトになってから話はしたの?」
ケンタウロスが食べながらウンディーネに聞いた。
「それがまだ話せていないのよ。話そうとは思うけどキルケの兄弟と知って気が引けるし、何から話せばいいのかわからないのよね。昨日も寮に戻ってガイアとそのことを少し話し合っていたのね。」
ウンディーネはサラダをつつきながらそう言った。
「挨拶ぐらいはしてるだろう?例えば朝起きて”おはよう”とか。」
ディオがウンディーネに聞いた。
「ええ、それくらいわね。でもそれは会話とは言えないわ。」
ウンディーネはお手上げポーズをした。
「なるほどね。でも折角キルケの兄弟とルームメイトになったのならキルケのことを聞いてみるといいんじゃないかな?キルケ本人には聞きづらい事でも兄弟達ならきっと話してくれるかもよ。」
ケンタウロスはウンディーネに何とか話してみないかと促した。
「ああ、それは名案だわ。ケンタウロス、教えてくれてありがとう。早速寮に戻ったら色々聞いてみなくっちゃ。」
ウンディーネは笑顔で答えると食事を急いで食べ始めた。
「急いで食べるとよくないよ。あっでもあの2人だからキルケに口止めされて言えないなんてことにならなければいいけどね。」
ディオがボソッとそう言ったのでウンディーネが頷いた。
「確かにね。キルケはずる賢さを超えてるものね。そうしたら手立てを打つしかないんだわ。私はキルケに宣誓布告よ!」
ウンディーネは遠くに見えるキルケの背中を睨み食事を片付けると去って行った。
「放課後図書室で会いましょう。それじゃあね。」
「うん・・・。」
ケンタウロスとディオは唾をごくりと飲み込みウンディーネは本気なんだと悟ったのであった。