第11章 進級~新しい出会い~
「なるほどね。いつか会えることを願おうじゃないか。」
先生はそう言ってケンタウロスの盃に水を汲んだ。
こうして食事会は幕を閉じた。
食事会が終わるとまっすぐ寮へ戻るようにと先生からの警告があった。
「あっ、見て!星がきれいだよ。」
時刻は8時頃だろうか。食事会が終わってケンタウロスが館から出ると長い廊下に続くように壁にかかる窓には満点の夜空が広がっていた。
「凄いわね。」
ウンディーネがやって来てそう言った。
「なぁ、早く寮へ戻ろうぜ。」
しかし星に見とれてる間もなくディオの言葉に頷きケンタウロス、ウンディーネはディオに続き駆け出して行った。
「はぁ、明日が嫌だな。」
ケンタウロスが小さくため息をついた。
「何で?」
ディオが聞いた。
「だって今日の食事会の事、絶対に2人に聞かれるじゃん。」
ケンタウロスの言う2人とはキューピッドとユニのことである。
「確かにな。あとワル達も聞いてきたりして。」
ここでディオがケンタウロスを冷やかしたので”やめろよ”とケンタウロスは後ずさりした。
「いいから早く来いよ。」
「あっうん。」
館からは他の生徒達も続々と出ていき、最後の先生が出ていくと扉の鍵を閉めた。
「ねえ、2人とも。館の奥にいた変な子どうしても気になるから明日調べない?」
ウンディーネがワクワクして2人に聞いた。
「そうだね。でもどこから手を付けていいかわからないな。」
ケンタウロスは腕を組み考えいた。
「まず、あの少年の特徴を思い出そう。」
ディオは冷静に答える。
「えっと確か髪の毛は緑色で背丈は私達と同じくらいだったわよね。後は・・・何だったかしら?」
ウンディーネは思いつくことを言っていく。
「うーん、目の色は分からなかったし・・・耳は?」
ケンタウロスは必死に覚えていることを絞りだそうとしたが少年が遠くにいたため特徴がつかめず悩んでいた。
「耳は三角じゃなかったかしら?」
ウンディーネの言葉に2人は頷いた。
「じゃあ、明日の授業が終ったら放課後図書室に集まって調べよう。」
「でも彼の正体が分かった後の行動はどうするの?」
ディオの提案にウンディーネが聞いた。
「そうだなぁ、館も鍵がかかっているのか。入れそうにないしな。」
ケンタウロス達3人はこの館は普段入る事が出来ず鍵をかけているとクセノファネス先生に聞いたからである。
3人は考えるのを諦め寮へ戻って行った。