第11章 進級~新しい出会い~
それから暫く、先輩方の話が続いた。しかし、ウンディーネは上の空だしケンタウロスとディオは奥の部屋の少年が誰なのか気になって仕方がなかった。
すると突然声がしたのでケンタウロスは驚きの声を上げた。
「ケンタウロス君、何度も呼びましたよ。」
その声はホメロス先生だった。
「済みません。立派な建物に見とれてしまって。」
ケンタウロスはとっさに嘘をついて誤魔化した。
「まあ、いいですけどね。それで君ら3人は去年は大活躍したそうじゃないか。」
ホメロス先生の言葉にウンディーネとディオも我に返り頷いた。そしてデマゴーグのことや今までの冒険の事、亡くなった友人2人について話した。
「誠にあれはいかんかったな。」
校長先生が思い出してそう言った。
「はい、まさか友達だと思っていたあの2人が共犯だったなんて思いもよりませんでしたから。」
ケンタウロスが大きくため息をついた。
「まあ、過ぎてしまったことを悔やんでも仕方なかろう。君らはそれに屈せずに前へと進むのじゃ。」
校長先生はケンタウロスらに励ましの言葉をかけてくれた。
「はい、そうですね。」
食事会の中で将来についても話合いが行われ7年生となる最上学年の先輩方があれこれ語り、ウンディーネも語っていた。
「私は将来ジャーナリストになり自身のコラムを持つことが夢です。」
ウンディーネはそう語っていた。
「ほう、ウンディーネは何故ジャーナリストの道を選んだのかな?」
クセノファネス先生が聞いた。
「亡くなった友人のことを悔やんでいても仕方のない事なのですが、どこかで気が付いていたらあの2人を止めることができたかもしれないと思ったのです。そう思った時に世の中の出来事をもっと知り、自分の目で確かめたく、ジャーナリストの道を選びました。もしかしたら私がこの学校を卒業する頃には将来の夢は変わっているのかもしれません。でも今はジャーナリストになりたいと思っています。」
ケンタウロスとディオは彼女の物言いにすっかり感心してしまったのだ。
「僕らは将来の夢さへ決まっていないのにね。」
2人は顔を見合わせた。
「ケンタウロスは将来どんな夢をお持ちかな?」
クセノファネス先生がケンタウロスに話を向けた。
「はい、僕は将来の夢はまだ決まっていませんがいつか僕の本当の両親を探し、ケンタウロス一族のケイローン様にもう一度お会いしてみたいです。」