第11章 進級~新しい出会い~
「ねぇ、ケンタウロスとディオってば!」
ケンタウロスが作り笑みを浮かべているとウンディーネが2人に不思議そうに言った。
「あのキルケっていう子、曙の女神エーオースや月の女神セレーネーが兄弟だと言ったわよね?」
「そうだよ、それで?」
2人は顔を見合わせてきょとんとした。
「曙の女神エーオースはまたの名をエオスとも呼ぶのよ。それにセレーネはまたの名をアルテミスとも言うわ。だっておかしくない?私とガイアのルームメイト2人がキルケの姉妹ですって?」
「えっ・・・あー!」
ケンタウロスとディオはここでやっと真実に気づき驚きの声を上げた。
「どうかなさいましたか?」
アマゾネス先生が2人に聞いた。しかし2人は驚きのあまり声が出ずウンディーネが代わりに話した。
「あの、私とガイアさんのルームメイトの2人はキルケさんの姉妹なのですか?」
「そうなるわね。でもそんなに驚くことじゃないわ。2人はこの学校へ先に入学していたのよ。だってここは寮があるのだから親元を離れるってことになるのよ。私はオデュッセウスと後から来たの。わかった、ウンディーネさん?」
キルケは何がおかしかったのかクスリと笑って答えた。
「でもどうして2人は先に来ていたのですか?」
ウンディーネはキルケにおずおずと聞いた。
「あら、それじゃあ教えてあげるけど私の姉妹であるエオス様はティーターンの系譜に属していたの。恋多き方みたいだったそうよ。彼女はすべての星を生んだのだけど生み過ぎて飽きちゃったのね。それからであるヘーリオスとの子供に四季の女神ホーラがいるともいわれるわよ。知っていましたか?まぁ、そんな簡単な質問をしてくるようでは秀才なあなたでもご存じなかったようね。たしか女神ホーラはこの学校へ留学していただとか。アルテミス様は月経と月との関連から動植物の性生活・繁殖に影響力を持つとされた。また、常に魔法と関係付けられたそうよ。魔法に覆われている自分が追われてると思ったのでしょうね。だからゆったり時間の流れるこの学校を2人は選択したって訳。私はその後両親の都合でこちらへ、オデュッセウスは私が説得して連れていきました。以上!」
ウンディーネはキルケに言葉を返したかったが返す言葉が見つからず悔しい気持ちでいっぱいになり歯を食いしばって見ていることしかできなかったのであった。