第11章 進級~新しい出会い~
あの少年は一体誰なのか気になるところだが食事会は進んで行った。
「さて、堅苦しくなく楽な姿勢で食し、話に花を咲かせるのじゃ。キルケとオデュッセウスは今年から我が校へ転入されたのじゃが、学校には慣れたかね?」
校長先生が転校生の2人に聞いた。
「はい、慣れました。」
2人はそう答えた。
「それにしてもキルケは前の学校では秀才じゃと聞いたがこれは我が校のウンディーネと張り合いがありそうじゃな。」
「はい、彼女は友達であり良きライバルですから。お互いに切磋琢磨し合って頑張っている次第にございます。」
キルケがにこやかにそう答えたのでウンディーネがケンタウロスとディオに耳打ちした。
「ふん、嘘ばっかりよね。何が友達よ!?」
「それでもってキルケのお父上はどなたでしたっけね?」
アレキサンダー先生が興味深々な様子でキルケに聞いた。
「私のお父様は太陽神のヘーリオスまたの名をアポローンとして知られています。私のお父様は彼が乗る太陽の車を青空の牧場に駆る御者とも考えられたのだそうで凄く尊敬しております。そして私のお母様はペルセーイスという方でとても美しく賢明なお母様の子でよかったと思っております。それと私の兄弟は曙の女神エーオースや月の女神セレーネーは姉妹として有名です。ヘーリアデス(太陽神の5人の娘たち)、パエトーンと言った方々がおります。」
「なるほど、キルケには兄弟が多く大家族の中で育ったのですね。」
アレキサンダー先生が食事をしながら頷いた。
「はい、そうです。」
キルケは笑顔で答えた。
「それからオデュッセウスは足が速いと前の学校でも有名だったそうじゃな。」
校長先生は今度はオデュッセウスに話を向けた。
「はい、でも大したことないですよ。こちらの学校ではケンタウロス君やユニ君だって足は速そうですもんね。僕にはとてもじゃないけど手に負えそうにありません。」
ケンタウロスはオデュの話を聞いた時いつもは気怠そうにしてる奴がこの時ばかりはちゃんと話すんだと感心した。
「でも、オデュッセウス君の方が足は速いんじゃないですかね?」
ケンタウロスは話を合わせると作り笑みを浮かべてスープを口に運んだ。