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時と光と風の中で

第11章 進級~新しい出会い~


3人が席に着くと他の寮からも生徒が来ていた。その中にキルケとオデュッセウスの姿もあり去年授業でお世話になったアレキサンダー先生の姿もあった。
「あっ、あの子はキルケ?」
ウンディーネが2人に小さく耳打ちした。
「と、オデュッセウスだな。あの2人も呼ばれたんだな。」
ディオが2人を見て言った。
それから3人は席から立ち、アレキサンダー先生や他先生、先輩方と挨拶を交わし席に着いた。
「それでは、諸君。この度はこのような食事会にご参加頂き、誠にありがとう。まあ、堅苦しくなく気軽な会話ができたらいいと思う。それでは盃を掲げてください。」
アレキサンダー先生の合図でみんなが一斉に盃を掲げた。
「さて、みんなのこれからの発展と成功を祈って一同、乾杯!!」
乾杯の合図でみんながそれぞれに盃をぶつけ合い乾杯をした。その後は話しながら食事をする場となった。
暫く食事をしているとウンディーネが奥の部屋のカーテン越しからじっと見つめている少年に気が付いた。
「ねぇ、あの子は誰なの?」
ウンディーネがケンタウロスとディオに小声で聞いた。
「さぁね。知らないな。」
ディオは首を横に振ったがケンタウロスは不思議に思っていた。
「あの子も招待されているならこのテーブルに着くべきだと思うよ。何で奥の方で見ているんだろう?」
「声かけた方がいいのかな?」
ウンディーネは迷っていた。1人だけのけ者になっている気がしたからだ。
「でも、僕らが声をかけたところで他のみんなが知らない人だったら?」
ディオは呆れてお手上げポーズをした。
「おい、どうした?」
ケンタウロスが声がする方を振り向くとクセノファネス先生が後ろに立っていた。
「あの、先生?一つ聞いてもいいですか?」
「何だ?言ってみなさい。」
「あの奥の部屋から覗いてる少年は誰なのですか?」
ケンタウロスが奥の部屋を指さした。しかし先生は”気のせいだろう”と言葉を返し席に着いた。
「ほらね、きっとあの子は僕らにしか見えないんだよ。」
ディオはそう言うがケンタウロスとウンディーネにはますます疑問が残るだけであった。
奥の部屋で見つめている少年は遠くで確かには見えないがこの学校の制服を着ているように見えた。顔だちは凛として美しく耳が三角にとがっていた。髪は薄い緑色をしていて見たことのない少年だった。身長はケンタウロス達と変わらない位だった。



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