第11章 進級~新しい出会い~
「それにしてもさぁ、魔法が使えないなって授業なじゃいよね。」
ケンタウロスはため息をついて席に着いた。
「まぁ、ケンタウロスの言ってることもわからなくもないな。」
ディオが頷く。
「確かにそうよ。私達における魔術は幅広いから学ぶことがたくさんあるのよ。例えば西洋の言語には魔術・呪術・妖術と翻訳される語彙がいくつかあるだとかね。こういったことを学んで多くの知識を頭の中に吸収していくのなら書いて覚えるよりも実践するべきだと思うのよね。だから、ケンタウロスは私の言いたかったことを代弁してくれたんだわ。」
サラダを食べ、頬杖を突きながらウンディーネが話した。
「でも、ケンタウロスは放課後先生の所に呼び出されるんだろう。何かお仕置きか罰則でも受けるのかな?」
「さあね。兎に角私達もついていった方がよさそうね。ただし、先生の部屋の前までよ。そこから先は呼ばれてないからいけないわ。」
ウンディーネは呆れてそう言うとジュースを一口飲んだ。
「先生の部屋の中を覗けないのかな?」
ディオは何とかして先生の邪魔をしたいようだがウンディーネが”ばれたらどうするの?”と釘を刺したためこの計画は取りやめることにした。
「2人ともありがとう。僕のことはそんなに心配しないでよ。もとはと言えば僕が出しゃばり過ぎたのがいけなかったんだからさ。」
ケンタウロスはお手上げのポーズを取って少し笑った。
こうしてあっという間にお昼の時間、午後の授業も過ぎていき、放課後になった。
「ケンタウロス、気を付けてね。」
ウンディーネが心配そうに言った。
「幸運を祈るよ。」
ディオが頷いてケンタウロスの方を叩いた。
「うん。」
ケンタウロスは短く頷いて足早に先生の研究室へと向かった。
「大丈夫かな?」
ウンディーネとディオは心配が隠せずに冷や汗をかいていた。