第7章 恋の策謀事件(下)
「マールスの方がかっこいいだろう?だから彼を恨んでいたのさ。その時ヘルメスが彼女のサンダルを盗んだって聞いて僕にも何かできないかと考えたんだ。それで2人をおびき寄せて背後から襲ったんだ。なにでおびき寄せたかって?お菓子で釣ったのさ。」
「じゃあ悪魔に取りつかれていたのは本当なの?だってアキレーと話している所をケンタウロスが見たって言っていたわ。」
ウンディーネはヘファイストスに聞いた。
「嘘だよ。確かに僕はアキレーと話していたけど”君には素質があるから悪魔の城へ来ないか”って誘われたんだ。」
ヘファイストスの言葉にみんなはひどく憤慨した。
「だってさっきはヘルメスが1人で犯行に及んだみたいなことを話していたじゃないか?」
ケンタウロスが叫んだ。
「そうだよ。」
「ヘルメス!?」
声のする方を振り返るとヘルメスの姿があった。そして彼はヘルメスが現れこれまでの経緯を語った。
ヘファイストスの話によるとアフロディティーとマールスをおびき寄せるのにお菓子を使ったらしい。
まずヘルメスは知り合いに頼んで鷲を借りてくると、その鷲と泥棒の才能を使って女子寮へ侵入してアプロディーテーの黄金のサンダル盗んだのである。そして彼はこのサンダルを返すことを条件に関係を迫り、彼女を自由にしたのだ。そんなヘルメスはこの話を面白がりヘファイストスに話して聞かせた。するとヘファイストスも彼女を憎んでおり2人で共犯に及んだのだ。
ある日の夕食後2人はアフロディティーとマールスを呼んでお菓子を振舞った。
「食堂のおばさんから頂いたんだけど食べるかい?」
もちろんマールスは鋭い感を持っているためこれだけでは信用してくれない。しかしこのことも作戦済みであった。
「三機能イデオロギーの話を聞きたいから談話室へ行こう。」
2人はマールスを誘いアフロディティーにもついでに来てもらいたいと持ちかけ2人をパシフィスタの談話室へ誘導すると話を聞き始めた。最初は頷きながら話を聞いていたがやがて食後のデザートを食べようと先ほどのお菓子を進めてきた。
これにアフロディティーは応じて食べたがマールスはかたくなに食べてくれる様子がなかったため、友情の印のお菓子であると言い聞かせて食べさせたのだ。