第7章 恋の策謀事件(下)
「ミュンヘン降霊術手引書?ってなあに?」
ガイアがキューピッドに聞いた。
「僕はウンディーネほど詳しくは知らないけど主として鬼神学と降霊術に関するものであると言われているんだって。」
「降霊術って死者を呼び出すのよね?」
「たぶんね。」
ガイアはこの時ゴクリとつばを飲み込んだ。もし降霊術が死者を呼び出すことができるならマールスとアフロディティーを蘇らせることはできないかと淡い気持ちが芽生えたのだ。
「これでマールスとアフロディティーを蘇らせることはできないの?」
ガイアがユニとキューピッドに聞いたが”それは無理だ!”と言われてしまった。
「これは占いの目的のために亡者の霊を呼び寄せようとする魔術の形態だからな。死者を呼ぶだけで亡くなった方を蘇らせることはできないのさ。」
ユニが残念そうに言った。
「そんなあ。」
これにはガイアもがっくりと肩を落とした。
その時図書館に誰かが入ってきた。
「誰?」
ガイア達がドアの方を振り返ると小さな男の子が小走りで入ってきた。
「なんだ少年か。」
キューピッドがホッと胸をなで下ろして言った。
「エアさん、お客様が来所です。」
「わかった。すぐに行く。」
どうやらお城に客人が来たようだ。
「すまんが君達、私はここを開けるんでね。勝手に使ってもいいが本を借りるのだけはよしてもらいたい。もし本を借りたければ私のいるときにしなさい。後出て行く時はドアをかっちり閉めるようにね。」
エアはガイア達にそう言って図書館から出て少年の後をついて行った。
「はーい。」
エアが図書館から出て行くときに少年がガイア達を睨みつけた。
「変なことが起きなければいいけど。」
バタン!!
「何だよ、あのガキは生意気にも程があるぜ。」
少年とエアが去って行った後ユニが少年の態度に憤慨した。
「まあ、まあ少年のすることだから仕方ないよ。」
それをキューピッドがなだめていた。
「あの少年は私達の正体に気がついたのかしらね?」
ガイアが不安そうにドアを見つめていた。
「バレてなきゃいいけどな。行こうぜ。」
ユニが頷いて2人に図書館から出ようと言った。
図書館の本を本棚に戻して、電気を消してドアをかっちり閉めて出て行った。
「ケンタウロス達は上手くやれてるのかね?」
「さあな。」
ガイア達は図書館を出た後悪魔達の生態を探るために出かけた。