第2章 真実とは何か?
「あの男がデマゴーグだったなんてね。本当なのかしら?」
ウンディーネが歩きながら考える。
「だから、そう聞こえたんだって。信じてくれよ。」
ケンタウロスはウンディーネを説得させようと必死だ。
「そうね。そういえばディオがさっき彼の事を煽動的民衆指導者だと言っていたけれど彼に会った事があるの?」
ウンディーネはディオに聞いた。
「うん、何年か前にね。彼はデマゴゴスとも呼ばれている人なのさ。僕は彼の講演会に行ったことがあって・・・まあ遠くから見ていただけなんだけどね。」
ディオの言葉にケンタウロスがどんな講演会だったか聞いた。
「好戦的な主張で民衆を煽動してたなあ。」
そんな話を歩きながらしているとあの男に出くわしてしまった。
「・・・。」
3人は緊張で顔が強張りその場に固まってしまった。向こうからあの男が1人で歩いて来たものだから隠れるチャンスを逃し、そこにただ立っていることしかできなかった。
「ごきげんよう。ん?君は確か私の講演会に来てくれた子だね。」
彼の言葉に緊張で頭の中がいっぱいのディオがしどろもどろに答えた。
「はい、そうです。」
本当は彼の名前が聞きたかったのにこの時は聞けなかった。
「それじゃあ、また会おう。」
男は軽く会釈して去っていった。
その後、天文学のアレキサンダー先生が通りかかったのでさっきの男は誰かと聞いた。
「ちょっと待っててくださいね。確認してきます。」
先生はそう言うと走り去っていったが暫くして3人の所へ戻ってきた。
「デマゴーグですよ。」
そういった先生は息を切らしていた。
「すみません。わざわざ確認させてしまって。」
3人は先生に申し訳なさそうに頭を下げたが”気にするな”と先生が言ってくれたのでにっこりと笑みを浮かべた。
「でもどうしてデマゴーグがうちの学校に来てるんですかね?」
ディオが先生に聞くと先生は咳払いをした。
「デロス同盟を・・・しまった。これは内部秘密だったのに。いいかい君達?これは秘密事項だから絶対に他の奴らには話すなよ。」
先生はうっかり口が滑りデマゴーグが学校に来た訳を喋りそうになったので手で口を押さえた。
「デロス同盟・・・。」
3人はそう呟いて男が去って行った方を見た。そして先生にお礼を言うとその場を走り去った。