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時と光と風の中で

第2章 真実とは何か?


3人はその後、暫く部屋から男性が出るのを待ったが一向に出てこない為、諦めて歩き出した。
「誰だったんだろうね?」
「さあね。」
3人はがっかりして集会へと向かった。
この日の集会にてあの張り紙の事が話し合われた。校長先生が壇上に立って厳しくこう言った。
「最近なにやら騒がしいが学校の掲示板に妙な張り紙がしてあったのは生徒諸君もご存知だろう。しかし惑わされないで欲しい。相手の調子に乗ると厄介な事に巻き込まれかねないので十分に注意するように。謝礼金などと心配しなくても送らなくても結構だ。以上!!」
校長先生の言葉に生徒達がまた騒ぎ出した。
「新しい学校を作るって本当なんですか?」
「あの張り紙は誰が貼ったのですか?」
などの声が上がったが校長先生は”私にもよくわからんのでな”と言葉を濁して壇上から降りた。
「あっ、あの人は・・・?」
生徒達のざわめきの中でケンタウロスが遠くの人を指さした。校長先生の隣のまた隣に座って腕組みをしている男性が目に入ったからだ。
「あの人ってまさかタレス先生が案内してた人じゃない?」
ウンディーネがケンタウロスとディオに囁いた。
たしかにまぎれもなくタレス先生が部屋に案内していた男性に間違いはなかった。
「あいつは何者なんだ?」
ケンタウロスが不思議そうに男の方を指をさしているとどこからか声が聞こえた。
「デマゴーグだよ。」
「え?今誰か言わなかったか?」
ケンタウロスは2人に聞いたが2人は首を横に振って気のせいだよと答えた。
「何なのよ。騒ぎ声がしてるだけじゃない。」
ウンディーネとディオが肩をすくめたがケンタウロスの様子に”どんな声が聞こえたのか?”と尋ねた。
「デマゴーグだよって聞こえたんだ。僕があいつは何者かと指をさしたらそう聞こえたんだ。」
「デマゴーグだって?」
2人は目を丸くして驚き遠くの男の方を見たが彼の姿はもうそこにはなかった。
するとディオが思い出したように手を叩いた。
「そうか、思い出したぞ。デマゴーグはギリシアの煽動的民衆指導者だよ。」
「え?」
その時騒いでいた生徒達がディオの方を向いて驚いた。
「えっと・・・。」
みんなに注目されて照れるディオ。
「行こうぜ。」
ケンタウロスは冷たく張り詰められた空間から出ようと2人に促すとその場を急いで離れて行った。
そんなディオは恥ずかしさで下を向いたまま歩いた。




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