第7章 恋の策謀事件(下)
アクロコリントスは何かを物語っていた。古代コリントスのアクロポリスで、古代ギリシアのコリントスを見下ろす位置にそびえていた一枚岩の丘である。
「行きましょう。」
ウンディーネはみんなに合図をしてアクロコリントスを目標に歩き出した。
「ヘカトンケイル、あなたの兄弟の特徴とか掴めないのかしらね?」
ウンディーネは巨人に兄弟の特徴を聞いた。
「なるほどね。1人目の兄弟のコットスは『怒り』を意味するのね。次の兄弟のブリアレオースでその名は『強き者』を意味するのね。そして最後がギューゲースなのね。」
ウンディーネは巨人の言葉を繰り返して言った。
「でも最後の兄弟のギューゲースだけ特徴がいまいちわからないわね。」
遠くにアクロコリントスのお城が見える。少しモヤがかかっていて見えにくいが立派なお城だ。
「なんか寒気がするな。」
ディオが後ろを振り返って身震いした。
「そりゃそうでしょ。冬なんだから。」
そこにガイアが突っ込んだ。
しばらく歩いているとモヤがかかっていたお城がだんだん見えてきた。
「なぁ、あれは何の城だ?」
ユニが歩きながらウンディーネに聞いた。
「あれはアクロコリントスの城よ。このお城は謎だらけと聞いたことがあるけれど本当なのかしら?」
みんなでお城の内側に回って行くと何かが見えてきた。
「あれは何だ?」
みんなが恐る恐る近づいてみるとそれは泉だった。
「あれはペイレーネーの泉よ。」
ウンディーネが指を差した。
「城壁の内側にペイレーネーの泉があると聞いたことがあったわね。パウサニアスによれば、『その神殿の裏にある泉は、アーソーポスからシーシュポスへの贈り物だという。』という話よ。」
「アーソーポスからシーシュポス?」
ガイアの質問にウンディーネは笑顔で答えた。
「アーソーポスはオーケアノスとテーテュースの子、ペーローとポセイドーンの子という説があるけれどどれもはっきりはしてないわね。河神ラードーンの娘メトーペーとの間にペラゴーン、イスメーノスと、20人の娘達を授けたといわれるわ。」
「20人も・・・凄いな。」
ケンタウロスがウンディーネの言葉に口を開けた。
「シーシュポスはコリントスの創建者なのよ。彼は元々エピュラーを創建していたのだけれど、後にコリントスという名前に変わったそうよ。」
「なるほどね。」
それにしても美しい泉だとみんながうっとりしていた。