第7章 恋の策謀事件(下)
こうしてみんなは塔を目指して登った。そして塔に着いたのである。
「いるわよね?ねえ、いるんでしょう?」
ウンディーネがケンタウロスから降りておそるおそる塔の門を開けようとした。
「ダメだわ。鍵が掛かっていて開かないわ。どうしよう。」
ガイアとディオもそれぞれ降りてウンディーネに続いてドアの門を開けようとしたが鍵が掛かっており中には入れなかった。
「ん?あれは窓じゃないか?でも高くて僕らには届かないな。」
ケンタウロスが塔の上を見上げると窓があった。しかし塔の上にあったため見上げても届かないでいた。すると巨人が大きな足音を立てて窓を覗き見たが彼は首を横に振ると残念そうに肩を落とした。
「あなたの兄弟達はいなかったのね。残念だわ。」
みんなは塔から離れて別の道へ入って行った。塔から離れると市場も塔も遠くなっていった。
「大丈夫よ。きっとあなたの兄弟は見つかるわ。」
ガイアが巨人を励ました。
「あの塔はタルタロスって言うんだよな?」
歩きながらディオがウンディーネに聞いた。
「そうよ。」
「タルタロスにいないってことはどこにいるんだろう?」
「わからないわ。キュクロープス族に囚われたのかもしれないし、あるいわテューポーンいやラピテース族かも。本当にどこへ行ったのかしらね。」
ウンディーネは肩をすくめた。
「それでヘカトンケイルは最後に兄弟達と会ったのはいつなの?」
ウンディーネは巨人に聞いた。
「え?1年も前なの?それじゃあ見当がつかないわね。でも何故あなただけ助かることができたの?」
ウンディーネが巨人に話を聞くと1年前だと話したのでみんなは驚いた。
しばらく歩いていくとアクロコリントスという建物が見えてきた。
「あれはアクロコリントスじゃないか。」
ケンタウロスの言葉にウンディーネが頷いた。
「ギリシアにおいてコリントスは、アテナイやスパルタと並ぶ主要な都市国家(ポリス)のひとつであり、アクロポリス(アクロコリントス)には遺跡が残るわね。古代ローマ時代には属州アカエアの州都として繁栄し、キリスト教文化においてはパウロ書簡の宛先としても知られているのよ。コリントスは戦乱や災害によって幾度もの破壊と再建を経ているの。」
ウンディーネが事細かく説明してくれたのでみんなは感心していた。