第7章 恋の策謀事件(下)
「彼は何をしているの?」
ケンタウロスがウンディーネに聞いた。
「わからないわ。聞いてみましょう。」
ウンディーネは巨人に近づこうと歩いて行く。みんなは”何かあったら大変だから”とウンディーネを止めようと声をかけたがウンディーネは問題解決の手がかりになればと足を止めなかった。
「ねえ、ヘカトンケイル?」
ウンディーネは巨人を見上げて彼に話しかけた。
「・・・・・。」
「あなたはヘカトンケイルでしょう?こんな所で何をしているの?」
ウンディーネは力いっぱい大きな声が届くように彼に話しかけた。
”Ψάχνω για λείπουν αδελφοί”
「えっと行方不明の兄弟を探してる?」
ウンディーネと彼のやり取りを遠くから見ていたケンタウロス達が2人の所に走ってやって来た。
そしてヘカトンケイルはウンディーネの言葉に頷いた。
「あなたの兄弟ってもしかしてコットス、ブリアレオース、ギューゲースのことなの?」
ウンディーネは彼に聞いた。
するとヘカトンケイルはこくりと頷いて歩き出した。
「ねえ、待ってよ。」
みんなは巨人の後をついて行った。
「彼はずっと牢屋に閉じ込められていたの。」
巨人の後ろでウンディーネが巨人についてみんなに説明しながら歩いた。
「牢屋だって?何でまた??」
ディオが不思議そうに聞いた。
「それはね、彼があまりにも・・・。」
ウンディーネがそう言いかけた時、巨人が怒り出したので話を濁しながら説明した。
「言っちゃいけなかったのね。まあ飛ばして話すわね。とにかくそういうことだったの。それで父ウーラノスによってタルタロスに封じ込められたが、ティーターノマキアーの際助けられたと聞いたわ。」
「タルタロス?ティーターノマキアー?なんじゃそりゃ?」
ユニがワクワクしてウンディーネに聞いた。
「タルタロスはギリシア神話に登場する神であり、かつ尚そのものなの。ティーターノマキアーはオリュンポスの神々と、クロノス率いる巨神族ティーターンとの戦いなのよ。全宇宙を崩壊させたこの大戦は、終結させるのに10年もの歳月が必要であったんですって。 長母音を省略してティタノマキアとも表記される。ヘーシオドスの『神統記』などに語られていわね。」
ウンディーネの説明には感心されっぱなしだった。