第6章 恋の策謀事件(上)
「もしかしてヤキモチを焼いているとか?」
彼女は得意げに言った。
「よりによってなんでマールスなんだよ?」
キューピッドは彼女の肩を掴み揺さぶった。
「やめなさいったら。」
そして彼女をきつく抱きしめて叫んだ。
「こんなにも苦しいのは初めてだ。お願いだから去っていかないでおくれよ。オリンピア祭の返事をくれたじゃないか。」
「あれはあの時よ。もう私達の関係は終わったの。いい加減に私から離れてちょうだい。」
「嫌だ!!僕は君が降参するまで離れないぞ。」
キューピッドはそれでも諦めようとしない。
「そんな事言われても私困っちゃうわ。ほら、離しなさいよ。」
彼女は必死にもがく。
「痛い!!お願いだから離して・・・。」
「あっごめん、アフロディティー悪気はなかったんだ。」
キューピッドの力強さに彼女の体がついていけなくなり唸り声をあげました。キューピッドは申し訳なさそうに彼女に謝ると彼女の体から手を離した。
「どうしてマールスなんだよ?」
「あなたと違って完璧だからよ。」
彼女は鋭い目つきでキューピッドを見た。
「完璧って学力だけがいいとは限らないぞ。」
キューピッドは必死に訴える。
「学力だけとは言ってないわよ。ルックスだって彼の方が上だし頭も良くて最高じゃない。ただ、1つだけあなたと違う所があるとすれば寮が違うって所かしらね?」
彼女は鼻を鳴らして去って行った。
そんな彼女を追いかけることもできずにキューピッドは悔しさで滲んだ。