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時と光と風の中で

第6章 恋の策謀事件(上)


翌日の放課後は図書室にみんなで集まって昨日の紙切れの話し合いが行われた。
「グリモワールって何?」
ディオがウンディーネに聞いた。
「グリモワールとはフランス語で魔術の書物を意味し、特にヨーロッパで流布した魔術書を指す。グリモワ、グリモアとも表記されるわ。奥義書、魔導書(魔道書)、魔法書ともいう。類義語に黒本、黒書(black books)があるのよ。」
そこにマールスが言葉を付け足した。
「狭義では悪魔や精霊、天使などを呼び出して、願い事を叶えさせる手順、そのために必要な魔法円やペンタクルやシジルのデザインが記された書物を指すが、魔術を行う側の立場から書かれた悪魔学書、魔術や呪術などに関する知識、奥義を記した古文書、書物全般のことを指す場合もあるのさ。『ソロモンの鍵』『ソロモンの小さな鍵』『黒い雌鶏』などが有名で、特に『大奥義書』の異本『赤竜』に加えられた、黒い雌鶏を使った召喚儀式に登場するんだ。」
「ソロモンの小さな鍵では第10の悪霊ブエルが有名よね。これがその絵よ。」
ウンディーネがある本のページの中の絵を指さした。
「うわあ、気持ちわるいな。なんだよコイツ。」
ケンタウロスが驚いて後ずさりした。
ライオンのようなたてがみと5本の足からなる謎の悪霊だ。
「これはレメゲトンというのよね。」
「さすがガイアだね。」
ガイアの答えにマールスは感心した。
「スローン MS 2731までは作詞者が不明なの。それからの作品はハーリー MS 6483で”ピーター・スマート氏”ウェルカム MS 4665は”フレデリック・ホックリー氏”そして最後の作品となるウェルカム MS 3203は”ヘンリー・ドーソン・リー”が手がけているの。」
ウンディーネは簡単に説明した。
「でもソロモンの鍵とソロモンの小さな鍵では何が違うんだ?」
ディオがウンディーネにすかさず質問した。
「ソロモンの鍵は『ソロモンの大いなる鍵』と言って大英博物館に保管されていたソロモンの名を冠する7冊の断章を基にマグレガー・メイザースによって再構成された魔術書よ。グリモワールとしては有名だが、もう1冊のソロモンの鍵である『ソロモンの小さな鍵』、『ゲーティア』や『レメゲトン』とも呼ばれる書の方が72柱の悪魔の召喚及び使役といった派手な内容の為か認知度が高く、混同される場合が多いのよ。」
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