第6章 恋の策謀事件(上)
「おい、おいってば!!」
マールスは誰かが自分の肩を叩いてるのを気がつかずぼおっとしていた。
「マールス、聞いてるの?」
ここでマールスは、はっとして後ろを振り返った。そこにはヘファイストスとディオが立っていた。
「ごめんっていうか、今何時だ?」
マールスはしどろもどろになりながら答える。
「だって何度も呼んだのにちっとも返事してくれないんだもん。てっきり無視されたのかと思ったよ。」
ヘファイストスとディオは呆れて言った。
「本当にごめん。ぼおっとしててさ。あれ?朝になってる?」
マールスは周りを見て驚いた。気が付けば翌朝になっており大広間で朝食を食べる時間になっていた。
「もう朝だけど。でもあの勉学博士のマールスがぼおっとしてたなんて珍しいこともあるもんだ。」
そこにケンタウロスとユニも加わりみんなで食事を取ることにした。
みんなが食事を取って話している間マールスは昨日のことを思い出していた。アフロディティーとキューピッドがケンカしている最中とはいえ彼女に惹かれるなんて・・・なんでこんなことをしてしまったのだろうと思ったのだ。でも彼女がキューピッドとケンカしている今はそのことが言えない状況でした。言ってしまったら彼女とキューピッドの仲はもっと悪くなってしまう。どうしたらいいのだろう。
「マールス、どうかしたの?」
ケンタウロスの言葉に気がついたマールスは”何でもない”と言ってスープを掻き込むように飲んだ。
このあとの授業でアフロディティーにもキューピッドにもどちらにも会う事になるので気まずいなとマールスは後ろめたい気持ちでいっぱいだった。