第6章 恋の策謀事件(上)
1時間目の授業はプラトン先生による修辞学の授業だった。
「今日はイソクラテスについて学ぼうと思います。教科書の60ページを開いてください。」
先生の指示で生徒達が一斉に教科書を開いた。
「イソクラテスとはギリシャの修辞学者で、アッティカ十大雄弁家の一人です。イソクラテスは当時のギリシアで最も影響力のある修辞学者で、その授業や著作を通して修辞学と教育に多大な貢献をした人物ですね。」
プラトン先生が説明しているとウンディーネが質問をしてきた。
「先生、アッティカ十大雄弁家とはなんですか?」
「おっとウンディーネさんは鋭いですね。さて、先ほど質問にもあったアッティカ十大雄弁家ですが古典時代を代表する10人の雄弁家およびロゴグラポス(演説作家)たちのことを言うんですよ。ビュザンティオンのアリストファネスとサモトラケのアリスタルコスが編纂した『アレクサンドリアのカノーン(Canon alexandrin)』の中には、以下の10人が含まれていたのです。」
プラトン先生はそう説明すると黒板に字を書き足した。
1:アンティポン
2:アンドキデス
3:リュシアス
4:イソクラテス
5:イサイオス
6:アイスキネス
7:アテナイのリュクルゴス
8:デモステネス
9:ヒュペレイデス
10:ディナルコス
「こちらの10名ですね。今回はその中でもインソクラテスについて詳しく見ていきましょう。」
「はい。」
こうして授業が進む中一人、気まずそうな顔をしている生徒がいた。ヘファイストスです。ヘファイストスは何かを気にしているようだった。