第10章 たまには甘えたくなるものです。
そんなたわいもない話をしていると、あっという間に名前の自室の前に到着してしまった。
『ありがとうございました!逆方向なのに……』
木手「別にいいんですよ。今から休むんですか?」
『あ、はいっ。ちょっと今日は疲れちゃったから……仮眠でも取ろうかなーと』
木手「そうですか。なら布団でも被せてあげますよ」
『じゃあお願いします!』
部屋には入れば、名前をベッドに促して横になったことを確認しては布団を被せてあげる木手。
ふかふかの布団に入れば眠気が襲ってくる。
『永四郎優しいねー!』
木手「このくらい普通でしょう」
『布団掛けてもらうなんて小学校以来かも!』
木手「こんなことで喜ぶならいつだって掛けてあげますよ。」
『ありがとう、永四郎先輩♪』
一人で寝ているより、誰かが居た方が安心する。
さっきもがっくん先輩とかジロー先輩が隣にいたから安心して眠れたのかもしれない。
木手「それでは……ゆっくり休んでください。私はこれで」
『あ!永四郎、待って……』
ベッドから離れ部屋から出ようとする木手を無意識に引き留めてしまった。
木手「ん。どうかしましたか?」
『あ……えっと、な、何でもない……』
木手「一人だと寂しい……と言ったところですか?」
『ひ、一人で寝れるよ……!』
一人だと寂しい……
寂しくないと言えば嘘になる。
木手「……貴女も素直じゃないですね。寂しいなら寂しいと言えばいいものを……普段は素直なのに、そうゆうところは意地っ張りなんですね」
再び木手が名前のベッド近くまで戻ってくる。
そしてしゃがみこんで目線を合わせながら話してくれる木手。
『だ、だって……そうゆうのって…相手に迷惑だから……』
そう。
甘えたい、誰かに頼りたいと思うことがある。
でも頼ったら相手に迷惑をかけてしまうのではないかと、不安に掛けられるのだ。
だから言い出せない……。