第18章 まるで少女漫画みたいな【二口堅治】
◇
「……部長、から」
突然会話をぶち切った電話相手に、美咲は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「嫌なやつなのか」
「ううん…まぁ、ちょっとつきまとわれてる」
「つきまとわれてる?ストーカーか?」
「そこまでじゃ…。でも私がフリーだってことを言ってからすごい言い寄られてる」
ため息をつく美咲。
よほど面倒なやつなんだろう、仕方なくという様子で画面をタップした。
「ーーはい。……すみません、大丈夫です………えっ」
眉をひそめたまま、目を見開く。
「いえ、送っていただくなんて大丈夫です……あ、いえ、そのご心配なさらず、……」
美咲は電話片手にオロオロし始めた。
送っていくという申し出があったらしい。けれど美咲はそれを断りたい。
まぁストーカーもどきに送られるなんてまっぴらだよな。